FARM8(本社・新潟県長岡市、樺沢敦社長)は中小酒蔵の地酒を自社オリジナルパウチで100mlごとの小分けにパッケージして日本酒愛好家へ定期配送するサブスクビジネス「SAKEPOST」を発案。中小酒蔵の活性化策として関係者の注目を集めている。
同社は9月14・15日の両日、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されたスタートアップイベント『Plug and Play Japan SUMMIT Summer/Fall 2023 Batch』に出展。会場内スタートアップピッチステージで、代表の樺沢氏がビジネスモデルを紹介した。
樺沢社長は「日本酒の生産量は過去50年で8割減少したが、日本国内にはまだ1千以上の酒蔵が存在している。しかし、その大半はいまだ知られていない。日本酒の多様性を維持し、中小酒蔵の活性化に貢献することもこのビジネスの重要な目的。現在契約している酒蔵は70ほどだが、今後さらに増やしていきたい」と抱負を述べている。
「SAKEPOST」の継続利用者は現在およそ2千人(累計4千人)。サービスに申し込むと、月1回オリジナルパウチに入れられた3種類の日本酒が宅配される。日常酒プラン、吟醸酒プランなどがある。
商品パウチ表面には銘柄名は記載されていない(写真㊤)。裏面のQRコードを読み込むことで銘柄名と酒の解説が確認でき、感想などを書き込んでファン同士で情報共有できるほか酒蔵へ直接メッセージを送ることもできる。酒蔵側も直接のやりとりでコアなファンが獲得できると好評だ。
樺沢社長は同ビジネスの目的について「私自身、新潟の津南醸造という酒蔵の蔵主です。「SAKEPOST』を通じて全国の酒蔵ネットワークを構築し、日本酒の新しい出会いのコミュニケーションツールとしたい」としている。
日本酒の輸出量は近年増加している。中小酒蔵の商品は生産規模も小さく大規模輸送には適さない。高騰し続ける物流費を考えても重量のかさむガラス瓶での海外輸送のハードルは高く、FARM8のビジネスモデルは中小酒蔵の日本酒輸出にも大きな可能性を与えることになるものとして注目される。
今回FARM8が出展したイベント『Plug and Play Japan SUMMIT Summer/Fall 2023 Batch』は、米国発のアクセラレーター・ベンチャーキャピタルPlug and Play Japan(本社・東京都渋谷区、ヴィンセント・フィリップ代表)主催によるもの。
国内外から厳選されたスタートアップ企業106社が参加し様々な業界における技術トレンドやオープンイノベーションの取り組みが紹介されたほか、スタートアップエコシステムの取り組みや現状について国内外の企業、自治体などのパートナーによるトークセッションが多数開催された。
イベントの概要はHPより確認できる。
https://japan.plugandplaytechcenter.com/summit/summit-2023-sf/