いい芋焼酎とは?探求 芋100%「一刻者」 発売22年、もっとおいしく 宝酒造

麹にまで芋を使った宝酒造の全量芋焼酎「一刻者(いっこもん)」。発売から22年を迎え、今の時代に合った「いい芋焼酎とは?」をあらためて探求。もっとおいしくなって新登場する。

一般にサツマイモは水分量などの関係から麹を造るのに向かず、通常の芋焼酎には米麹が使われている。だが同社では芋本来のおいしさを表現するため、6年を費やして芋麹の開発に成功。頑固に「芋100%」にこだわった焼酎が完成した。南九州の方言で「頑固者」を意味する「一刻者」は、01年の発売から多くのファンに支持されている。

「一刻者の日」と定める9月4日に開催したPRイベントで、同社商品第一部長の吉田隆裕氏は「もっと『一刻者』をおいしくしたいという思いで進化させてきた。芋焼酎のおいしさとは?いい芋焼酎とは?そんな疑問と向き合い、今の時代に合わせてアップデートさせる。『もっと芋でできること』にも、もう一度本気で向き合う挑戦をした」と語った。

同社の調査では現在、多くのユーザーが2種類以上の芋焼酎を楽しんでいることが分かった。普段飲む銘柄とは別に、週末などのいい時間を過ごしたいときには「いい芋焼酎を飲みたい」という欲求が高まっているとみる。いい芋焼酎には「芋の甘み」が求められていることも分かった。

これを意識した新メッセージ「今夜は一刻者と、」を打ち出し、贅沢な芋の甘みが楽しめる特徴を、ブランドアンバサダーを務める俳優・永瀬正敏さん起用のWEBCMやブランド紹介動画を通じて大々的にアピールする。

さらに「新しい芋」への挑戦として、原料サツマイモの新品種開発にも挑んだ。クリーミーで甘い香りの紫芋、フルーティで甘い香りの橙芋のそれぞれの良さを併せ持つ新しい芋を、品種選抜と育成を6年にわたり繰り返した末に完成させた。

「レーズンやオレンジピールを思わせる、高級洋菓子のような贅沢で濃厚な甘い香りの芋焼酎に仕上がった」(ブランド担当・佃裕之氏)という自信作。まだ生産量が少ないため、貯蔵・熟成する甕を共有する「甕オーナー」200人を募集。先行して販売する。

新品種の芋は愛称も未定。この日のイベントで登壇した永瀬さんは「Treasure(宝物)」との命名案を披露した。「芋から造られる宝物であり、宝酒造とも掛けている。日本だけでなく、海を渡って海外でも親しんでほしいという思いを込めた」という。甕オーナーからも愛称を募集し、来年には正式決定。商品名にも反映させる計画だ。