菓子卸企業の外林グループは今期(5月期)、「基本の徹底!」をスローガンに掲げて人財育成など社内体制を強化し、売上高1千億円と経常利益率1.5%の2025年度長期経営目標実現に向けて弾みをつける。
前期、外林グループ4社の純売上高は前々期比7.2%増の893億円で着地した。売上高においては計画を前倒しして進捗した一方で、経常利益率は目標を下回り横ばいの0.71%となった。
利益率が横ばいになった背景について、8月8日取材に応じた浦上和明代表取締役会長(CEO)は、コロナとウクライナの戦争による原材料の不足で商品の品薄状態が続いたことによる欠品対応とメーカー各社の相次ぐ段階的な値上げによる商品の改廃作業に追われて本来の営業活動ができなかったことを挙げる。
このような見方を示した上で、「売上が増え、業務量が増え、利益率が横ばいということは大いに反省しないといけない。様々な原因はあるが、大きな原因はコロナ禍によるコミュニケーション不足など組織の乱れ・基本の乱れに尽きる」と気を引き締める。
この考えのもと、外部講師の力も借りながら社員研修を刷新。「職務能力だけを高めるのではなく、社会人や職業人としてあるべき姿の教育と人間性、人としての教育を組み合わせた教育研修へと再構築していく」考えだ。
グループ会社の連携を強化するなどして領域拡大にも挑む。
22年に子会社化した大善(千葉県松戸市)については「大善の得意先さまには、外林が取引していなかった異業種があり、食品売場以外にもお菓子の売場を広げることになる」と期待を寄せる。
小売やメーカーの立場に寄り添った提案を目的とした事業の多角化も視野に入れる。「小売さまに対するお菓子売場の提案や、メーカーさまには良い商品を作るための卸がどう改善・改革をするかというのも見えてくるはず」と語る。
供給体制の強化にも取り組む。市場拡大する駄菓子については「小売店さまが求められる品揃えに対応するための東日本の物流拠点を新潟に置くことを検討している。駄菓子は今ものすごく品薄状態にあるが、当社は駄菓子の卸としては全国の中で大きいと自負しており、駄菓子の売場づくりでもプロにならないといけない」との考えを明らかにする。
菓子の袋詰め加工を手掛けるグループ会社のエスピービーは23年7月に群馬工場を開設。これまで本社(広島県福山市)のみで行っていた菓子の袋詰めを西日本と東日本へと分散化。拡大する需要に対応するとともに物流費削減にも寄与しているという。
今後は「これまで物流費が高くてよい商品づくりが難しかった東日本に対しても、より価値ある商品を提供していきたい」と意欲をのぞかせる。
外林グループの物流を担うエヌエス物流では、外林グループの物流だけでなく、様々な会社の物流も手掛ける3PL(スリーピーエル=サードパーティーロジスティクス)のような物流会社への進化を目指していく。