手ごろな価格とおいしさ、そして健康性。利用シーンの重なるライバルであるナッツ類と比べても、コスパの高い食材がピーナッツだ。このインフレ時代に家計節約の強い味方になるかと思いきや、意外にも販売は苦戦しているという。なぜなのか。
「コロナ禍の当初は家飲みやリモートワークなどもあり、ピーナッツの需要が盛り上がった。だが、それも数か月で落ち着いた」。このように語るのは日本ピーナッツ協会の田畑繁専務理事。
「この間に免疫機能など健康への意識は高まったが、残念ながら消費者の意識はナッツ類に向かってしまった。大手菓子メーカーがアーモンドのミルクやチョコなどのPRに注力する陰で、ピーナッツは影が薄い。体に良いということは認知されていても、いかんせん食材としての真新しさに欠けることは否めない」。
19年ごろには、薄皮に含まれるポリフェノールの機能性がメディアで相次ぎ取り上げられ、健康維持や美容のために食べるユーザーが拡大した。協会の消費者調査でも、「手軽」「健康」「価格が手ごろ」など、ピーナッツについてプラスのイメージを持つ人は多い。これを実際の消費にどうつなげるかが課題だ。
協会では、大学と連携した健康機能の研究も進めている。すでにいくつか成果も出てきているといい、時機をみて最適な方法でアピールしたい考え。「機能性とコスパ」といった、ピーナッツならではの切り口も考えられるという。
一方で、国産落花生の可能性にも期待を寄せる。主流の中国産に比べて数倍の価格差があるが、18年にデビューした味自慢の新品種「Qなっつ」など、付加価値を高めた製品もじわじわと拡大中。
「国産への消費者の関心は高い。値段にもよるが、まだまだポテンシャルはあると思う。農家にとっては野菜などよりも利益のとれる商材。新たな地元の名物にする動きもあるようだ。消費者への発信方法についても考えていきたい」。