精糖工業会は12日、3年ぶりとなる「新春賀詞交歓会」を都内のホテルグランドアーク半蔵門で開催した。精糖メーカーや砂糖卸、関連団体など約130人が参加。野村哲郎農林水産大臣を来賓に迎え、飛躍・繁栄を願う「卯年」の訪れを盛大に祝った。
冒頭に森本卓会長が登壇し「行動制限の解除などにより、昨年後半から徐々に需要が回復。砂糖消費は前年度を上回る174万6千tとなり、2022砂糖年度は175万tと見込まれている。しかし、粗糖国際相場の高止まりや輸送費・燃油価格の上昇、さらには急激な円安も重なり精製糖業のコストが大幅に上昇しており、各社とも度重なる製品価格の改定を余儀なくされている。新型コロナ感染再拡大の不安とともに状況は非常に厳しい」と昨年を振り返った。
加えて、輸入糖に過度な調整金負担を強いる糖価調整制度について、砂糖調整金勘定の収支が急速に悪化し「制度疲労」が顕在化していることに触れ「農林水産省は『国内産糖と輸入糖の供給アンバランスの解消』について、ビート糖の交付対象数量の上限を段階的に削減し、2026砂糖年度に現行の64万tから9万t減の55万tにすることを決定した。今後の進捗を注視する必要はあるが、弊会としても今回の決定を率直に評価したい。公平・公正な糖価調整制度の運営のもと砂糖需要が回復し、砂糖業界全体が発展するよう全力で取り組んでまいりたい」と力強く語った。
また、野村・農林水産大臣は「砂糖は国民生活にとって欠くことのできない食品。近年、コロナ禍の影響や消費者の低甘味嗜好などにより砂糖消費量は大きく減少し、糖価調整制度の安定的な運営の観点からも大きな課題となっている。その中で、今回の決定で国内産糖と輸入糖のバランスの取れた適正生産量を確保し、砂糖調整金勘定の単年度収支を黒字化できるよう道筋がつけられたものと考えている。精糖工業会をはじめ、北海道の生産者、関連団体の皆さまのご理解に感謝したい」と語った。
乾杯は塩水港精糖・久野修慈会長が行った。中締めはウェルネオシュガー・樋口洋一会長が行い、一本締めで業界一致団結による消費拡大を誓った。