生乳 需給緩和策が一定の成果 業界一丸で課題解決へ 乳業界が賀詞交歓会

乳業団体合同新年賀詞交歓会(主催・日本乳業協会など13団体・社)が6日、都内で開かれた。コロナ前は酪農乳業関係者ら約1千人が一堂に会する新春恒例の場だったが、昨年に引き続き規模を縮小し、感染症対策を講じた上で約150人が参加した。

代表してあいさつした宮原道夫日本乳業協会会長は、世界情勢や厳しい物価高を背景に「11月から乳価引き上げ、製品価格の改定を行った。年末年始は処理不可能乳が懸念されたが、改定時期に合わせた消費拡大キャンペーン、農林水産省とJミルクが推奨する「牛乳でスマイルプロジェクト」に参画し、生産者の方々の全国的な需給調整や最大限の生乳処理、関係各位の協力もあったことで無事取り組むことができた」とし、酪農乳業関係者らの努力と行政の支援に改めて感謝の意を示した。

引き続き課題である脱脂粉乳や生乳の過剰在庫については「脱脂粉乳は行政・生産者団体、乳業者一体となった対策により、11月には8万5千768tにまで減少したが、需給ギャップが解消されたわけではない。生乳も過剰在庫基調が続いており、生産者団体が生産抑制の取り組みを継続すると聞いている。農林水産省が補正予算により酪農経営改善緊急支援事業を措置しており、成果が上がることをより期待する」と力強く語った。「23年は日本の酪農乳業界の足元の混乱への柔軟な対応、将来を見据えた取り組みと、難しいかじ取りが求められる」ことから、変化し続ける酪農乳業界の発展に向けて業界が一丸となり課題解決に取り組むことの重要性を改めて示した。

Jミルクの川村和夫会長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
Jミルクの川村和夫会長

川村和夫Jミルク会長は、「11月からの牛乳やヨーグルトなどの価格改定は消費をさらに押し下げることが懸念されたが、幸いにも消費減の影響が想定より限定的なものにとどまり、生産者の皆さんのさらなる生産抑制のご努力もあり、年末年始は大きな混乱もなく乳製品の処理を進めることができた。乳製品の需給緩和は生産者の生産抑制と過剰在庫解消対策により一筋の明るさがみえつつある」とした上で、「乳製品向け全用途での乳価引き上げによる乳製品全体への商品の影響も懸念される。道半ばの需給改善にしっかりと取り組むことが重要」などと語った。

来賓祝辞に続き、佐藤雅俊全国飲用牛乳公正取引協議会委員長による一本締めで酪農乳業界のさらなる発展を祈願した。