22年の中食惣菜は市場規模10兆円を回復した前年の好調ぶりを維持し、旺盛な需要に応えている。4月以降、量販店の来店客数が減少に転じる中にあっても、中食惣菜市場は社会環境の変化に柔軟に対応する強みを生かし成長を続けてきた。コロナ禍以降は、外食産業並みの品質を目指した高付加価値惣菜が品目数を増加。ワンランク上のプチ贅沢品として消費者に受け入れられた。内食、中食、外食のボーダーレス化は猛スピードで進行している。それに伴い業態間の競争もし烈さを増してきた。
◇ ◇
22年の中食惣菜販売は、コロナ前の水準に回復しつつある。流通各社に対する聞き取りによると「量販店での惣菜販売は、前半戦は前年同期比で微増(金額ベース)」といった状況だ。しかしながら4月以降、市場に変化が表れてきた。外食市場の回復だ。総務省統計局発表の家計調査によると、4月の2人以上世帯の外食支出額は前年同月比15.4%増を記録。5月は33.7%増、6月は28.8%増と勢いを増し回復傾向にある。
日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」でも4月以降の外食売上高は13%増と二ケタ増に転じ、5月は20.4%、6月は19.9%と大きく伸びている。回復要因は大都市圏でも行動制限の要請がなく、「土日休日」の「昼の時間帯」に来店する「家族客」の客足が良かったからだという。外食市場が復調の兆しをみせる一方、量販店の惣菜販売ペースが鈍化してきたという指摘もある。長きにわたる巣ごもり需要が落ち着き、潮目が変わったのではないかと見る向きも。
ここにきて感染力の強い第7波の影響により内食、中食、外食とも市場の行方は混迷を極めそうだ。飲食店にとっては客足が戻ってきたのもつかの間、環境は厳しさを増している。夜間の営業は依然として集客が弱く、「行動制限により消費者の生活習慣が変化したことから、特に夜間の客足は早く途絶える」(日本フードサービス協会)といった分析もある。
外食需要にブレーキがかかることで、昨年の勢いからやや失速したとされる中食惣菜の成長速度に拍車がかかるのだろうか。中長期的な観測では、生活必需品の値上げと所得横ばいの板挟みで安さを求める消費志向が一段と強まった結果、中食惣菜需要は今後も拡大するものという見方が根強い。