東洋製罐グループホールディングス(GHD)は、カフェや飲食店から出る使用済みカップの洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」を開発した。SDGsなど環境保全への意識の高まりを受け、消費者が自ら使用した容器を手軽に水洗いできるシステムを普及させ、ごみから資源への再利用化を推進し、循環型社会の構築に寄与する。
飲食店で利用される紙やプラスチック製のカップなどの容器は通常、内側に飲料の成分が付着したり、スープやクリームといった食品残渣が残ったりするため、使用後は可燃ごみとして処理されている。洗浄機はワンタッチで操作でき手が汚れない仕組み。容器を指定位置に押し当てると、約50㎖の水が数秒間噴射され、容器内側の汚れを洗い落とすことができる。洗浄する水は40~50℃の温水にも設定可能で、固形物や頑固な汚れにも対応できる。洗浄後は回収ボックスに集めることで、これまで店側が負担していた分別や回収といった労力の削減にもつながる。吉村弘一常務執行役員は「消費者自身に洗浄してもらうことで、環境に対する啓蒙にもなる」と話す。
洗浄機の開発は約3年前からスタートし、今年から営業活動を本格化。すでに大手のコーヒー店から引き合いがあり、小売チェーンやファストフード店、フードコートなどの需要も見込む。価格は1台30万円程度を想定。洗浄機は業態や店舗に応じたオーダーメイドにも応じる。将来的には、同社グループが回収した使用済みカップなどを原料化し、再び容器を製造するマテリアルリサイクルの実現を目指す。
一方、同社がこのほど発表した23年3月期連結業績予想は、売上高は8.3%増の8千900億円で増収とする一方、営業利益は94.1%減の20億円、経常利益は78.1%減の100億円、純利益は84.2%減の70億円と軒並み大幅な減益を見込んでいる。材料やエネルギーの価格高騰に対し、売価転嫁が来期にずれ込む影響が大きい。過去最高水準だった22年3月期から一転し、今期は過去にない厳しい事業環境を想定する。
このほど決算会見に臨んだ大塚一男社長は、今期について「大変厳しい状況を想定しているが、成長分野や新たな市場へのチャレンジにも注力したい」と述べた。