「金のつぶ」ブランドを展開する納豆大手のミツカンは、6月から納豆商品の価格改定を実施すると発表した。さらに、大手報道によると、タカノフーズも同月から「おかめ納豆」など全納豆商品の値上げを実施する見通しだ。
物価高の中でも“安価に食事を成立させやすい食品”として需要を維持してきた納豆にも、値上げの波が押し寄せている。
背景にあるのは、大豆やエネルギー価格の上昇だけではない。中東情勢の緊迫化を受けたナフサ価格の高騰が、包材コストを直撃しているためだ。納豆はカップ容器に加え、たれ、からし、内装フィルム、3個パックをまとめる外装フィルムなど使用資材が多く、包材価格の影響を受けやすいカテゴリーとされる。特に外装フィルムは石油由来原料の影響を受けやすく、業界内でもコスト上昇を懸念する声が出ている。
この値上げにより、業界関係者の間では、「これまで当たり前だった“2ケタ売価”は厳しくなる」との見方も出ている。
納豆は以前から、価格競争の激しいカテゴリーとして知られる。3個パック中心の低価格販売が定着し、特売商材として扱われる場面も多い。こうした中、4月には「食料システム法」が全面施行され、豆腐・納豆も適正価格形成に向けたコスト指標化の対象品目となった。生産から流通までのコスト構造を可視化し、持続可能な価格形成につなげる狙いがある。
量販店ではPB商品の存在感も高まっているが、その製造を担うのは大手NBメーカーが中心だ。一方、地方の中小納豆メーカーは学校給食や地場スーパーなど地域密着の販路を持つケースも多く、家族経営中心で固定費負担を抑えながら事業を継続している例も少なくない。全国市場では大手集中が進む一方、地域ごとに異なる構造を抱えているのも納豆業界の特徴といえそうだ。
納豆業界では、今回の値上げを単なる一時的なコスト対応ではなく、低価格構造そのものを見直す転機とみる声もある。ただ、消費者の価格感応度は依然高く、売場ではPB商品へのシフトが進む可能性もある。物価高の家計を支えてきた納豆自身が、資材高騰と供給不安に直面している。



