山陰地方の食品卸・えびす本郷(鳥取県鳥取市)は、引き続き松江の和菓子を中心に地元企業の逸品を全国流通していくことを大方針に掲げつつ、地方卸ならではの特色を色濃く打ち出すべく新規事業や新たな販路開拓を模索していく。
25年12月8日、取材に応じた渡邉健次社長は「地方の卸はやはり何か特徴がないと生き残っていけない。菓子卸ということになると余計にNB商品の卸売だけでは年々かなり厳しくなり、特色を出していかなければいけない。さらに地方の卸だからこそ、独自性を活かし、いかに付加価値を前面に出し、小売業さまから支持される特徴的な動き方をしなければならない。」と危機感を募らせる。
今期(5月期)は、通販部門の拡充を図りBtoCビジネスの売上比率を高めていくことに注力する。
「卸はスケールメリットで原価を下げて仕入れられる。この点に着目して、各地の菓子卸企業が駄菓子や特徴のある商品などに特化した小売業を展開して存在感を放たれているように、新たな仕入れ先や販路にチャレンジされているところもある」と語る。
アイデア創出に向けた新陳代謝も検討する。
「大企業は副業を容認している傾向にあることから、大企業にお勤めで、例えば地方の課題解決にご興味のある方のお力添えをいただきながら、我々の生き残り作戦を練り上げていきたい」との考えを明らかにする。
今春には、冷菓と乳業の基幹システムを刷新して物流の効率化を図る。
同社事業は、菓子・和菓子・冷菓・自販機・通販・宅配・乳業の7つの柱で構成され、このうち、菓子の物流はNS研究会のシステムを導入して効率化が図れており、自販機も別システムを導入して効率化を進めている。
今回、冷菓と乳業も基幹システムの刷新によって「メーカーさまへの買掛金や条件などの管理のほか、売れ筋商品の抽出が自動的にできるようになる。さらに、発注システムも導入することで発注から納品までの業務もスムーズになる」という。
組織力強化にも引き続き取り組む。
コロナ禍に渡邉社長が自らカリキュラムとテキストを作成して社内教育と社内会議を刷新。
以降、毎月1回、午前9時30分から午後4時物まで渡邉社長が講師役を努めて社員教育を行っている。対象は約70人の正社員。職位や社歴の基準で6グループに分けて順繰り行っている。
「全社員が経営に参加してもらうのが社員教育の大きな目的。損益計算書など社内の数字を社員に開示して、社員には経営状況の把握からさらに進んで『会社として何をしていかなければいけないのか』と自ら考えて深掘りしてもらいたい」と語る。
外部資料も導入して、上杉鷹山などの歴史上の偉人の偉業を伝える内容も教育プログラムに盛り込んでいる。
会社の将来を担う13人程度の各部門の責任者は第1グループに属し「私の指示がなくても動き始めた感じがする」との手応えを得る。
組織の発展には3つのステップがあると渡邉社長は指摘する。
「第1段階は、リーダーが指示命令をハッキリしないと動かない組織であるが、リーダーシップの能力が問われる組織。2番目は、組織のメンバーがある程度話し合って方向性を決める組織は、リーダーは調整役。最後の3番目の組織は、放っておいても勝手に動く組織。この組織は自主性に任せ、よっぽどのことがない限り、リーダーは見守る組織。そして、この組織のリーダーは、全く新しいことを模索し実現していく組織という3つの組織が存在する。最終段階は、社長か何も言わなくても動く組織。私はここを目指しており、社員にも少しずつ伝わっているように思う」と述べる。
前期売上高は前々期比微増の50億6000万円。
このうち、伸び盛りとなっている和菓子の卸売事業の売上構成比は約8%。和菓子の売上高は5%増となり、売上構成比は前々期比より数ポイント高まった。
今期滑り出しについては「和菓子が一時的な落ち込みから回復傾向にあるものの、全体的には9月頃から値上げの影響かも知れないか消費の落ち込みが顕著になってきている」と気を引き締める。

