戦前戦後の食糧難から、高度経済成長期を経て、災害時の食糧供給と長きにわたって、人々の生活を支えてきた缶詰業界は大きな転換点を迎えている。
▼かつては安価で手軽、常温保存可能で非常時にも頼れる万能選手だった缶詰だが、インフレの波には抗えず、原材料費や物流費の高騰、気候変動による不安定な供給と労働力不足が追い打ちをかける。
▼日本缶詰びん詰レトルト食品協会の池見賢会長は年頭あいさつで「缶詰はもはや家計に優しい食品とはいえない」と言及したうえで、「時代にふさわしい価値を発信していこう」と呼びかけた。加工食品の原点である、保存性・安全性・品質の基本価値に加えて、サステナビリティや食品ロス削減、ローリングストックの普及など、缶びん詰レトルト食品が果たす役割は広がっている。
▼1927年に発足した協会は来年創立100周年を迎える。「その時々の社会変化に向き合い、技術や仕組みを磨き上げ、いかなる状況においても安心して手に取っていただける食品であることを追求してきた歴史でもある」。次の100年に向けた挑戦が期待されている。
