6月27日から現職の5代目社長・吉田匡慶社長は、ブルボン創立101年目を迎えるにあたり吉田康前社長(会長)からバトンを渡された。
12月4日、取材に応じた吉田社長は「正直、もう少し先だと思っていたので驚いた」とその時の心境を語る。
吉田社長にとって、4代目社長の吉田康会長は叔父、3代目社長の吉田高章氏は祖父にあたる。二人の背中をみて育ち「ブルボンにとらわれず、漠然と自分で会社を興したいという憧れがあった」という。
大学卒業後、ベンチャーキャピタルと銀行で経験を積み2014年10月にブルボンに入社。
「ベンチャーキャピタルでは投資、銀行では融資を担当し、そこで多種多様な業種の経営者の方と話をしながら仕事をしてきたことが私の強み」と語る。
社長就任後、3か月間、全国の取引先を回りニーズや要望、期待を汲み取ることに専念。「物価高に賃金上昇が追いつかない中、自社チェーンだけの特徴を生かした商品や、競合との価格競争ではなく価値で訴えられるような商品が求められていることが分かった」という。
地元・新潟県柏崎市から挑戦を続けることを承継し、国内事業を1つの柱にしつつ海外展開に意欲をのぞかせる。
「現在、中国で販社と製造工場、アメリカとベトナムに販社を構え、主にビスケットやグミ、チョコスナックを輸出している。ベトナムには25年6月に販社を設立し、中国の工場では主にビスケットを製造。これら3つのエリアを軸足に拡大していきたい」と力を込める。
国内では人口減少やライフスタイルの多様化に対応すべく商品開発に磨きをかける。
持続可能な原料調達にも取り組む。
11月12日、ベトナム・ザライ省の現地企業と「ザライ省におけるカカオ原料生産地域の開発および安定的な消費の確保に取り組む覚書」を締結した。
これには「ベトナムでカカオ豆が生産されているが、産業としてはさほど大きくなく、そこに対しての協力が求められていた。我々としてもカカオ豆の栽培を含め責任ある調達・品質管理ができるような体制を目指して少しずつでも手を打っていかないといけない」との思いが込められている。
同覚書には、カカオ豆の持続的かつ安定的な調達を目指した7年間の購入契約に加えて、 ベトナムのチョコレート製造・輸出企業Trong Duc Cacao社との持続可能なカカオ原料産地形成を目指す協力プログラムの一環として、現地のカカオ農家に3年間で約4万本を超えるカカオの苗木を無償提供する項目が含まれる。
持続可能な物流も推進していく。
「菓子業界の中では比較的早くパレット化に取り組みを進めており、共同配送の取り組みも強化している。現在、卸さま向けの輸送量の5割弱がパレットでの納品となっているが、引き続き新潟県内のメーカーとも協力してパレット化や共同配送に取り組んでいく」と述べる。
趣味はサッカーと旅行。
「小さい頃からサッカーをやっていて、家族と旅行をするのが好きなくらい」と笑みを浮かべる。
