7.5 C
Tokyo
5.8 C
Osaka
2026 / 02 / 09 月曜日
ログイン
English
加工食品漬物いま改めて選ばれる理由 発売60年超のロングセラー漬物「キューちゃん」に再脚光

いま改めて選ばれる理由 発売60年超のロングセラー漬物「キューちゃん」に再脚光

 最近、東海漬物のロングセラー漬物「きゅうりのキューちゃん」がよく売れているという。2023年の値上げ後には一時、動きが鈍る場面もあったが、手間や品数をかけない食事が増えるなか、再び日常使いとして手に取られる場面が増えている。

 背景にあるのは、漬物市場の好転というより、「米の食べ方」そのものの変化だ。物価高や生活リズムの変化を受け、食卓は全体に簡素化している。主菜や副菜をいくつも並べるより、手間なく、考えず、失敗しない食事を選びたい――そうした意識が、食事の前提になりつつある。白米を「どう食べきるか」が、日々の小さな課題になっている。

 そこで選ばれているのが、歯ごたえがあり、味がはっきりした“パリポリ系”の漬物だ。

 数切れあるだけで白米が進み、食事としての満足感が生まれる。量を多く食べなくても成立する点が、簡素な食事と相性がいい。「キューちゃん」は、その条件を自然に満たしている。甘辛い醤油味とコリッとした食感は、白米の最初の一口を後押しし、最後まで食べきらせる。漬物が副菜として添えられる存在だった時代とは異なり、いまは白米を一食として成立させるための「スイッチ」として使われている。

 もちろん使われ方は一つではない。SNSを見ると、お茶漬けに合わせたり、弁当に入れたり、丼に混ぜて調味料のように使ったりと、食シーンは多様だ。

 共通しているのは、どの場面でも「少量で役割を果たしている」点である。用途を決めなくても、冷蔵庫にあればどこかで使える――その感覚が、リピートにつながっている。

 メーカー側は、商品の好調理由を新規導入や価格を理由に挙げることが多い。だが、生活者が「キューちゃん」を食べている理由は、もっと単純なのかもしれない。白米の食事を、考えずとも成立させてくれる。その体験が無意識のうちに記憶され、「また買ってもいい」という判断につながっている。

 漬物市場は厳しい環境が続いているが、すべてが苦戦しているわけではない。副菜前提の商品が選ばれにくくなる一方で、白米中心の食事にフィットする漬物は、点で評価され始めている。

 「キューちゃん」の動きは、今の生活者が、米をどう食べているかを映す鏡と言えるだろう。
食卓が変わる中で、役割を明確に持てた漬物が、静かに存在感を取り戻している。

関連記事

インタビュー特集

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。

繋げる、繋げる、繋げる たこ焼きコミュニケーション足掛かりに TKO・木本武宏さんが次のフェーズへ

STUDIO TAMUROはお笑いコンビ「TKO」木本武宏さんの活動拠点。木下さんの実妹・大岡真裕美さんが代表を務める「オフィスTAMURO」が運営し、トークライブや、YouTube番組作成スタジオとして利用してきた。昨年5月からは新たな活動として、毎月3日だけ営業する「たこ焼き店」がスタートした。

SST=“サミットの仕事が楽しい”へ 新たな競争軸を作る 服部哲也社長

――中期経営計画の進捗はいかがですか。― 服部 「良い×強い=最強」という言葉を掲げた中期経営計画「頂(イタダキ)2025」は、最終年度を1年延長して26年度までとした。

食品産業センター 荒川隆理事長に聞く 「食サス」設立でサステナ課題深掘り フードサプライチェーン全体の連携で

日本の食品産業は、国内外から調達された農畜水産物を原料として、健康で豊かな生活を送るために必要な加工食品を安定的に製造・供給する産業として発展してきた。