メーカー・卸売・小売の製配販の取引で出荷した商品が過去に出荷した商品によりも古くなることを製造ロットの逆転という。
清涼飲料業界では製造ロットの逆転が起きないように、例えば近隣の倉庫からではなく遠方の倉庫から商品を運ぶといった製造ロット合わせのための輸送を日々行っている。
その輸送量は、飲料大手5社で構成される社会課題対応研究会によると、トラック年間3万台分と試算される。
清涼飲料水は賞味期限が長いことから、製造ロットの逆転で店頭に異なる賞味期限の同一商品が並べられたとしても生活者は気にしないとの仮説のもと大手飲料5社が協働。1/3ルールや1/2ルールの納品期限の緩和を呼びかけていく。

社会課題対応研究会が9月に実施した「賞味期限に関する意識調査」(有効回答数n=2670)によると、ペットボトル(PET)飲料と缶飲料は、賞味期限表示がないアイスクリームに次いで気にしている人の割合が少ないことが判明。
「賞味期限/消費期限をとても気にする」と回答した人の割合は、賞味期限が長い加工食品で3.6%~5.3%と1割に満たなかった。中でもPET飲料と缶飲料は「賞味期限/消費期限をとても気にする」と回答した人の割合が少ないことが明らかになった。
賞味期限が長いPET飲料は1カ月程度の賞味期限の逆転があっても86.5%の人が購入すると回答したことから、PET飲料においては賞味期限の日付逆転が生活者の購買行動に与える影響は限定的と同研究会はみている。

同研究会は11月27日、都内で発表会を開催し、賛同の流通企業と納品時の賞味期限逆転の運用テスト・店頭調査を2026年1月以降に開始すべく協議を進めていることを明らかにした。
生活者が清涼飲料水の賞味期限を気にかけていないことが流通に周知され、納品期限が緩和されれば、製造ロット合わせのための輸送が削減され、これに伴いCO2・食品ロス・人件費などの削減も見込まれる。
なお11月27日の発表会には、伊藤園の永田幸三執行役員生産本部副本部長、キリンビバレッジの坂口典優常務執行役員生産本部長、コカ・コーラボトラーズジャパンのアンドリュー・フェレット執行役員最高SCM責任者兼最高サステナビリティ責任者兼SCM本部長、サントリー食品インターナショナルの風間茂明常務執行役員SBFジャパン生産・SCM本部長が登壇した。
飲料大手5社は、アサヒ飲料、伊藤園、コカ・コーラボトラーズジャパン、キリンビバレッジ、サントリー食品インターナショナル。


