味の素社は、今春より視覚障がい者がスマホなどで使う音声読み上げ機能に特化した「音でみるレシピ SOUNDFUL RECIPE」を公開しているが、そのレシピコンテンツから生まれた初クッキングクラブが盲学校に設立された。
新設されたクラブ名は東京・文京区目白台の筑波大学附属視覚特別支援学校の高校生による「サウンドフル クッキングクラブ(SOUNDFUL RECIPE CLUB)」。当面は数名のクラブ員だが、味の素では今後、全国の盲学校などに活動を拡げて行く方針だ。
全盲で料理愛好家のみきさんも開発に携わった「サウンドフル レシピ」は、視覚障がい者には理解が難しい「きつね色になったら」や「焦げ目がついたら」などの表現をなくし、肉が焼けるときの“ジュッ”という音や、煮物が煮立つ“ぐつぐつ”という音などをレシピに活かし、見えない人も見える人も料理を楽しめるように工夫。3月までに100点のレシピをプロトタイプ版として公開している。
味の素は、このほど視覚特別支援学校と協働で、同校の寄宿舎で史上初のクッキング部設立を紹介。開発にも携わったみきさんと、プロの料理人として活動する東山広樹さんを特別アドバイザーとして迎え、メディア取材会を開いた。

当日は、クラブメンバーの女子生徒4人と、アドバイザーの2人が参加。視覚に障害がある生徒たちが、ハンバーグだねを焼き上げていく中での音の変化や、菜ばしで触ったときの感覚などを頼りに、ハンバーグを焼き上げる様子を披露した。
参加生徒は「油がはじける音などを目安に料理ができることを知り、少し自信がついた。今回学んだことを生かして、自分でも料理に挑戦したい」「料理の体験を通して、音や匂いといった五感で変化を感じ取ることの大切さを学んだ」など感想を述べた。
特別アドバイザーとして料理づくりをアドバイスしたみきさんは「料理は誰でも自由に楽しめるもの。感覚を通して食材と仲良くなると奥深い発見があり、ワクワクと心躍る。この活動を通して料理の楽しさを多くの人と分かち合えると嬉しいです」と述べ、東山さんは「生徒が一生懸命料理を取り組む姿勢に胸打たれた。これからも皆さんのお役に立てるよう、一生懸命尽力致する」など語った。


