有楽製菓の前期(7月期)業績は、チョコレートバーブランド「ブラックサンダー」の販売が大幅伸長したことで、売上と利益が過去最高を記録した。
前期売上高は前々期比19%増の196億円。各段階利益は、増収効果が原材料高騰などコストアップを打ち返してプラスで着地した。
9月30日、取材に応じた河合辰信社長が明らかにした。
好調要因について河合社長は、「30の楽雷」施策とカカオショックの2つを挙げる。
「30の楽雷」は、昨年9月に「ブラックサンダー」発売30周年を迎えたことを契機に立ち上げたもので、1年間かけて30の施策を順次実施した。

これにより「常に『ブラックサンダー』の情報を発信し続けている状態であったため、お客様の意識の中にも『ブラックサンダー』が想起されやすく、いろいろな場面で思い出していただく機会を多くつくれたのが大きかった。話題にしていただくことで、店頭の導入率も上がるといった相乗効果もみられた」という。
カカオショックについては、チョコレートの使用比率が高く値上げ幅が大きい商品からの流入があったとみている。
「カカオショックの影響で、当社も値上げせざるを得ない状況になったが、『ブラックサンダー』は、ココアクッキーとプレーンビスケットをチョコレートでコーティングしているため、相対的にチョコレートの使用比率が高い他社商品と比べて、価格の影響が小さいということもあって、お客様に選んでいただける機会が増えたと考えている」と語る。
この見方を裏付ける動きとして、アイテム別では、値頃感のあるファミリーパックが著しく伸長した。
社員・従業員によるところも大きいという。
同社は“日本一ワクワクする菓子屋”を志向し、その方策として社員・従業員自らがワクワクして働ける仕組みに取り組んでいる。
「社員・従業員の力は物凄く大きい。手前味噌だが、商品力や企画力は格段に引き上げられ、製造ラインも効率化が進んでいる。社内の総合力がかなり高まっている」と評する。
河合社長は、トップダウンの要素を極力排除し、社員・従業員が生活者起点で物事を考える環境整備に取り組んでいる。
「私が最終判断するのだが、私ではなくお客様に向けてより良いものを作ろうという機運が醸成されつつある。まだまだ改善の余地はあるが、社内連携も生まれつつある」と述べる。
今期は、価格改定の影響で前期に足踏みしたコンビニなどでの1本売りの販売を強化。
「売上高300億円を目標に活動してきた中で、前期、200億円に手が届くところまで到達できたのは大きかったと思っている。300億円達成も現実味を帯びてきたが、前期業績は外的な要因も大きいので、単純に我々の実力だけではないことはしっかり理解する必要がある」と気を引き締める。






