越後製菓は前期(3月期)、コメの品薄で餅部門(包装餅・鏡餅)と米飯部門が増収となった。餅部門の売上高は前年比2.2%増の100.5億円、米飯部門の売上高は8.9%増の34.6億円を記録した。
包装餅の前期売上高は、昨年8月の令和の米騒動と8月8日発表された南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)による需要の高まりで8月と9月が好調となったほか、今年1月以降もコメ品薄の影響で3.1%増の伸びをみせた。
かたや、鏡餅の前期売上高は、鏡餅市場が食品ロス対策強化などによって縮小傾向にある中、岡田ひとみさん監修による干支飾り付き商品や小型箱物商品が売上に貢献して0.4%増を記録。
米飯部門では前期、令和の米騒動で需要が急増し主力商品の「日本のごはん」を一時休売。その後、生産体制を増強し、利便性を高める仕様に変更して販売を再開。コストアップを受け、12月には米飯全品の価格改定を実施して増収となった。
2部門の売上が拡大した一方、コメ品薄による高騰でコスト環境は悪化したとみられる。
9月2日、発表会に臨んだ星野一郎会長は「お米の価格が(60キロ)3万6000円と4万円近くになり、餅と米飯は値上げせざるを得ず、米菓については、うるち米・もち米で国産100%の使用を標榜している当社としては逃げ場がない。このような環境で商売をしていくしかない」との考えを明らかにする。
米菓部門の前期売上高、商品を集約して好調な「ふんわり名人」に生産を集中させたことで7.1%減の64億3000万円となり、これにより全社の前期売上高はほぼ横ばいの205億6000万円を記録した。
同社は来年、創業80周年の節目を迎える。吉原忠彦社長は以下に記した企業理念である越後製菓五訓に触れ「創業者・山﨑正氏が考えたもので、社員全員がこれを把握し、変化が激しいこの時代にこの五訓は非常に重要」と述べる。
一、社会に役立つ企業となるよう努めること
一、安心して食べられる食品を作ること
一、自然の摂理を尊び資源を大切にすること
一、何事も相手の立場でもの事を考えること
一、剛健質朴(質撲)の気風を養うこと
五訓を踏まえ、今後は健全経営、人材育成、ブランディング、素材本来の持ち味を生かす商品づくりに注力する。