日本ワインとジビエのマリアージュ テロワールの違いを楽しんで メルシャン×日本ジビエ協会

国産ジビエと日本ワインの出会い――。メルシャンの日本ワインブランド「シャトー・メルシャン」では、日本ジビエ振興協会との協働プロモーションを始動した。

9月17日に行われたメディア向けのイベントでは、長野県産のジビエ料理とワインのペアリングの試食を通じて、その可能性が紹介された。

「日本の風土でつくられた日本ワインは、国産ジビエとの共通点が多く、抱えている課題も重なる。せっかくなら、タッグを組もうということになった」。シャトー・メルシャン事業本部の春日井琢記氏が説明する。

ジビエ協会代表知事の藤木徳彦氏(「オーベルジュ・エスポワール」オーナーシェフ)によれば、過去10年間は鳥獣被害対策としてのジビエ振興という側面が強かったが、現在は地域の特徴ある食文化として、ジビエの魅力を発信する「ジビエ2.0」のフェーズに入ったという。

メルシャンのエグゼクティブ・ワインメーカーを務める安蔵光弘氏は「ジビエ2.0と同じ時期に、日本ワインが国によって定義され、転機を迎えた。以前は甘すぎるものが多かった日本ワインも、15年ごろからだいぶ品質が上がってきている。適地・適品種で、さまざまな気候に対応した品種を育てることが大切だ」と強調した。

メルシャンが国内に3拠点を構えるワイナリーのうち、長野県内に「桔梗ヶ原」「椀子」の2か所がある。

土地によって異なる餌を食べて育つジビエと同様、テロワール(風土)による影響を大きく受けるワイン。

「同じ地域で同じ品種のブドウを育てても、どの農家が育てたかや、年によってもワインの味わいに差が出る」(安蔵氏)という。

柿を食べると美味しくなるという野生のクマをパテに。中央には干し柿が
柿を食べると美味しくなるという野生のクマをパテに。中央には干し柿が

この日は「椀子メルロー2019」と高山村産ツキノワグマを使った「月の輪熊と干し柿のパテ・アンクルート」など、長野県にフォーカスした3種のペアリングが提供された。

消費者向けのイベントとして「オーベルジュ・エスポワール」(長野県茅野市)でのペアリングコース体験とともに、ゲスト講師によるセミナーを10月25日に開催。11月3日には、シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー(山梨県)で新酒ワインとジビエ料理を気軽に楽しめる企画も予定。また都内では銀座「創作料理FANCL令和本膳」で「和食とジビエ」にスポットを当てた催しを12月9日に行う。