にんべん 前期は増収増益 カツオ価格下落が寄与

にんべんの2024年度(4~3月)業績は増収増益で着地した。売上高は前年比1.1%増の162億4300万円。経常利益でも、23年秋のピーク時に比べカツオの魚価が下がり、原価率が下がったこともあり、増益となった。25年度第1四半期(4~6月)も増収増益。髙津伊兵衛社長が8月1日に開いた25年秋冬新商品発表会で明らかにした。

24年度の主要商品の売上を見ると、規模の大きい「つゆの素1L」は金額、数量ともに前年を下回った。だが、育成に力を注ぐ「つゆの素ゴールド」「白だし」は価格改定の影響もあるなか、金額で同14.1%増、数量でも同8.7%増と伸長した。「日常の生活の中で使っていただく機会が確実に増えている」(髙津社長)ことが実績にも表れた。

25年度第1四半期の売上高は前年比2.2%増、経常利益は同8.8%増となった。売上高は4~7月の速報値でも同3.4%増と伸長。「様々な取り組みが(業績の)改善につながっている」(同)状況だ。

秋冬新商品では、家庭用NB商品として約20年ぶりに炊き込みご飯の素2品を発売する。「素材とだしを感じていただける仕様」(同)の新商品を提案する。タニタ食堂監修のだしパックも発売。だしを味わってもらう機会を増やす一方、「だしの風味で減塩につなげる提案もしていく」(同)。

髙津社長は、直販事業、特に直営店について、この秋に数店を出店することを紹介したうえで「スクラップビルドを行いながら事業採算の改善に取り組んでいる」と報告。新商品も投入する考えを明らかにした。24年度に前年比4.2%増と成長した海外事業、同様に同5.2%増と成長した業務用事業にも力を入れる考えも強調した。