雪印メグミルク バター製造開始から100年 乳を超えた価値創造へ挑む

雪印メグミルクは7月25日、前身の一つである北海道製酪販売組合のバター製造開始から100年を迎えたことを記念し、北海道札幌市で式典を開催した。

佐藤雅俊社長は「これまで培ったミルクバリューチェーンに磨きをかけ、高品質を追求する技術力と多様なニーズに応える研究開発力を生かし、次の100年も食の持続性に向き合う。人々の健康寿命延伸や乳を超えた食文化づくりに努める」と述べ、価値創造企業としての姿勢を強調した。

式典では、創業時の製法や保存技術を伝える「バター記念館」も紹介。雪室と湧水を活用した半地下構造で、自然の冷気を利用しバターを保存する仕組みが特徴。経済産業省の近代化産業遺産にも登録されている。

100年前の製法では、にしん窯でクリームを殺菌し約3時間練り上げた後、漬物用のカメに詰めて地下室で保存した。「札幌中のカメが集められた」と語り継がれ、創業期の労苦と情熱を今に伝えている。

当時のバターづくりを再現
当時のバターづくりを再現

当時バターは公務員の初任給に匹敵する高級品で、整髪料と誤解されることもあった。同社はレシピ本や新聞広告、女学生向け試供品など地道な啓発活動に取り組み、日本の食卓への普及を図った。

閉会あいさつで雪印種苗の丸田卓也社長は「この地は1924年にデンマークでの学びを経て牧場が開かれ、翌年に製酪所が設立された雪印メグミルクの出発点」と説明し、「次の100年も酪農と食の未来に貢献したい」と力を込めた。

雪印メグミルクは今年、新たなコーポレートスローガン「Love Earth. Love Life.」を制定。北海道なかしべつ工場でのチーズ生産体制増強など、未来に向けた歩みを進めている。