ロッテは7月17日、埼玉県三芳町(みよしまち)、三芳町歯科医師会との三者で連携協定を締結し、三芳町民の歯と口の健康づくりに貢献していく。
歯と口の健康づくりの推進に関する連携協定は、今回で全国19件目。埼玉県に限ると富士見市に次ぐ2件目となる。
三芳町の高齢化率は埼玉県平均を上回る28.7%。三芳町では、2031年までの8年間における新たなまちづくりの指針「三芳町第6次総合計画」の一環として、老化のはじまりを示す重要なサインとして注目されるオーラルフレイル(口腔のささいな衰え)予防に力を入れていく。
噛む機能が低下すると、肉類などが噛めなくなり、たんぱく質の摂取量が減るとともに、柔らかいものばかりを食べるようになり、噛むために必要な筋力が衰えるという負の連鎖に陥りやすくなる。
取材に応じた三芳町の林伊佐雄町長は「誰一人取り残さない共に生きる幸せなまちづくりやウェルビーイングの一環で、まずは健康をしっかり守っていく。これまでの健康長寿事業の延長線上で町民の口腔機能を高めていきたい」と力を込める。
「訪問診療で、口腔ケアができていないことによって誤嚥性肺炎につながり、最終的に死につながることを見てきているため、できる限りお口の中を清潔にするお手伝いをしていく。嚥下が困難な方も多く、お口の中の訓練も大事」と指摘するのは、三芳町歯科医師会の清水学会長。
ガムを噛むことは、咀嚼力に加えて嚥下機能も高めうるという。
「嚥下機能に関してはお口の中とお口の周りの筋肉がポイントとなる。ガムを噛むことで間違いなく筋肉も使われており、飲み込みが強くなることにつながっていく」と清水会長は説明する。
三芳町にある15カ所の福祉施設のほかイベントなどを通じて、ガムを噛むことによるオーラルフレイル対策を啓発していく。
小学校5校・中学校3校の教育現場に向けても、子どもの口腔機能の発達と噛むことの重要性を啓発していく。
この日、締結式に臨んだロッテの大豆生田(おおまめうだ)吾郎営業本部首都圏統括支店埼玉支店支店長は「噛むことの重要さを啓発していきたい。噛むことが健康につながることをもっともっと世の中に広めたい」と意欲をのぞかせる。

ロッテは2018年11月に「噛むこと研究部」を設立。噛むこと研究部では、噛むことが、脳や心、身体にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的に活動し研究成果をリリースなどで発信している
現在は、高齢者のオーラルフレイル予防の啓発に注力。ロッテ中央研究所噛むこと研究部の岡林一登部長は「ガムで口の中を動かす体操をやることによって、咀嚼力であったり飲み込む力が改善するというエビデンスが出てきていることから、そのような体操をご高齢の方に試していただくことで食べる力を維持することが大事だと考えている」と述べる。