開発プロセスに変革、新たな価値提供目指す
新しい“お酒”を体験できるサッポロビール直営のオンラインストア「シュパーク」が、6月27日から本格始動した。
ビール類、RTD 、ワイン、スピリッツなど幅広いカテゴリーの同社商品を販売するが、どれも店頭とはひと味違った品ぞろえ。単なるECサイトにとどまらず、ここでのテストマーケティングや顧客とのコミュニケーション、さらには地域、企業、コミュニティなどさまざまなパートナーとの共創や体験を通じて、酒の新しい価値提供につなげるねらいだ。
「お酒の関心層をもっと広げることを目的に立ち上げた。そのために『体験』が重要なものと位置付けており、デジタルだからこそできることはさまざまにあると考えている」。

同社顧客体験デザイン部の土代裕也部長が説明する。マーケティング本部の中でも、探索的な手法で顧客インサイトの発掘を進める組織だという。
「世の中が変化し、不確実性が高まっている。お客様自身も何を欲しいのか分からないという方が多い。マーケットが成熟して成長産業がサービスのほうに移るなかで、どうイノベーションを起こすか。それには開発プロセスそのものを変えるしかない」。
キーワードは「アジャイル」。最初から細部まで緻密に計算して開発したうえで技術部門に引き継ぐ従来型のマーケティングとは異なり、まずは機能別に小規模な開発を進め、顧客との対話を重ねながら完成形に近づけていく手法だ。
「まだ完全版ではないものをお客様に買っていただくことを繰り返し、深い顧客理解につなげる。そのために、技術陣やお客様とも最初からスクラムを組む」。
「たった一人に深くささる商品を」
重視するのは、マスに受け入れられる商品よりも「たった一人に深くささる商品開発」。テストマーケティングの第1弾として、既存商品とはやや目先を変えた2品を数量限定で発売した。
「shuwappy(しゅわっぴ~)」は、かつてない軽やかな味わいを実現した発泡酒。麦芽を使わず、苦みや渋みを抑えた。フレーバーホップの爽やかな香りと「のどごし」の心地よさが特長の新感覚ビールテイストだ。350㎖缶。2本セット1584円、5本セット2200円(税・送料込み)。
また炭酸などで割って飲むRTS「富良野ホップスピリッツ」は、富良野産ホップの魅力を詰め込んだスピリッツ。華やかな香りとほのかにビターな余韻があり、時の経過とともに口あたりがやわらかくなる瓶内変化が楽しめる。700㎖瓶、同2000円。

購入した顧客との直接対話や、販売データを通じた顧客の行動観察により知見を蓄積する考え。そのためのアプリ開発にも取り組む。
「お客様の行動を捉えるための『ゲーミフィケーション』、つまりゲームのように『これをやりたい』と思っていただけるように設計する。『なんだこりゃ!?』と思うようなサービスも作ろうとしているし、リアルな体験もどんどん作っていく。場所や時間にしばられないお客様接点を作ることで、ブランドの純粋想起を高めることにつなげたい」(土代氏)。
世代を超えて、お酒の楽しさ・未来を分かち合う“場”を創出。新しい体験や出会いによるわくわく感の提供を目指す。
