尽きない菓子業界の共通課題へ「一層心を引き締める」 全日本菓子協会・創立40周年の節目に太田栄二郎会長が語る

 全日本菓子協会は今年、創立40周年を迎えた。
 これを記念して、6月16日、都内で記念式典が開催され、40年の歩みと今後の共通課題などが共有された。
 業界の発展と同協会の活動に貢献した功労者には感謝状が贈られた。

 冒頭挨拶した太田栄二郎会長は、創立以来、業界一丸となり砂糖や小麦粉などの主要原料対策や流通取引慣行の見直しなどの諸課題に取り組んできたことに触れる。

 続いて、この10年間に直面したこととして、日EU・EPA、TPP11、新型コロナウイルス感染症の影響、ロシアによるウクライナ侵攻などによるサプライチェーンの混乱などを挙げる。

 サプライチェーンの混乱などにより原材料費やエネルギーコストが上昇。これに加えて人権やSDGsといった新たな課題が浮上していることを受けて、太田会長は「菓子業界の共通課題は尽きることなく、むしろ増加している。40周年の節目を迎え、心を一層引き締め、消費者の皆様に安らぎと元気を与えるお菓子業界の持続的な発展のために取り組んでいく」と語る。

前列左から、太田栄二郎会長、櫻井康文氏、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課長の野添剛司氏、伊藤秀二氏、山口信二氏。後列左から芥川仁史氏、細田眞氏(細田治氏の代理)、小澤俊文氏
前列左から、太田栄二郎会長、櫻井康文氏、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課長の野添剛司氏、伊藤秀二氏、山口信二氏。後列左から芥川仁史氏、細田眞氏(細田治氏の代理)、小澤俊文氏

 デフレが続き世界中のインフレについていけなかったことを一番の課題とし、課題解決に向けて共創を呼びかけるのは、感謝状受領者を代表して挨拶したカルビーの伊藤秀二シニアアドバイザー。

 「今の時代、競い合う競争ではなく、共に創る共創の時代。この狭い日本の中でシェア争いをしていく場合ではなく、適切な競争をしながらいいものを作っていき、市場を大きくしていき、市場全体の質と価値を高めることが問題解決の大きな鍵であって、そこに皆さま集中されていることと思う」と続ける。

 式典後の祝賀会には関係省庁の来賓や関係団体、会員企業など200人以上が参集。額賀福志郎衆議院議長、高村正大法務副大臣に次いで来賓挨拶した小泉進次郎農林水産大臣は「皆さんご苦労されているお菓子用のお米の調達、麦や砂糖も覚悟して頑張ろうと心に決めている」と意欲を示す。

来賓挨拶する小泉進次郎農林水産大臣
来賓挨拶する小泉進次郎農林水産大臣

 なお感謝状受領者は以下の通り。

 〈農林水産大臣感謝状〉
 ――伊藤秀二氏(カルビーシニアアドバイザー)
 ――櫻井康文氏(不二家特別顧問)
 ――細田治氏(榮太樓総本舗相談役)
 ――山口信二氏(モロゾフ社長)

 〈農林水産大臣官房長感謝状〉
 ――小澤俊文氏(コロンバン社長)
 ――芥川仁史氏(芥川製菓社長)