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【消費の深層】 高騰するコメに地域で価格差 ブランド銘柄離れの可能性も浮上

 高騰するコメについて、地域で価格差が生じていることやブランド銘柄離れの可能性がリサーチ・アンド・イノベーションの調べによって判明した。
 調査にあたり「CODE(コード)」と称するスマートフォンアプリから収集される毎月約30万人の購買データを活用。同社の井口(いのくち)颯一朗さんが以下寄稿する。

 購買データによるとコメの平均価格はこの2年間で2倍以上に急上昇した。それに伴い2024年末から25年始にかけて一時的に購入個数が減少したものの、25年2~4月は再び増加に転じている。生活に欠かせない主食であるコメならではの動きと推察され、消費者はある程度の価格上昇を受け入れながら購買を再開しつつあると考えられる。

資料1 出典:リサーチ・アンド・イノベーション
資料1 出典:リサーチ・アンド・イノベーション

 レシートの金額で地域別に今年2月から4月のコメの平均価格の前年比を確認すると、すべての地域において前年を上回ったものの、その値には差がみられた(資料1)。

 九州・沖縄は前年比220%と全国で最も高く、近畿や京浜などの都市部でも210%を超える大幅な上昇が確認された。

 一方、北海道や北陸、東北などの産地に近い地域では、上昇幅は190%以下にとどまり、高騰しているものの他のエリアと比べると限定的となった。

 九州・沖縄の平均価格は3,972円と全国平均(3,764円)を208円上回り、全国で最も高いことがわかる。近畿(3,952円)や京浜(3,872円)も同様に平均を上回り、都市部では“高値のコメ”が日常となっている。

 反面、北海道(3,470円)、北陸(3,528円)、東北(3,542円)など産地圏では、全国平均を約220円〜295円下回る値にとどまり、産地と非産地の間で価格差が明確に開いている。

資料2 出典:リサーチ・アンド・イノベーション
資料2 出典:リサーチ・アンド・イノベーション

 さらに、都道府県別でコメの平均価格を見ると、この地域差はより明確になる(資料2)。昨年は1700円台だった和歌山県や佐賀県、福岡県などでは、今年には軒並み4,000円台へと急騰した。

 これに対し、秋田県や岩手県、青森県などの東北の米どころでは約3300円前後と相対的に値上がりは緩やかといえる。

 こうした地域による価格差は、消費者の銘柄選びにも影響を及ぼしている。
 購入量が多く、比較的多くの地域で買われている8銘柄を対象に、地域ごとに、昨年からの購入銘柄のシェアの変化を確認すると、価格上昇の大きかった東海地域では、「こしひかり」のシェアが昨年より9.6ポイント減少する一方で、8銘柄以外のシェアが9.9ポイント増加していた(資料3)。

資料3 出典:リサーチ・アンド・イノベーション
資料3 出典:リサーチ・アンド・イノベーション

 同様の傾向は関東や近畿などの都市部でも見られ、価格高騰を受けて、かつては定番だったブランド銘柄から離れ、より手ごろな選択肢へのシフトが進んでいる様子がうかがえる。

 価格が比較的安定している北陸ではシェア状況に大きな変動はなく、「こしひかり」や主要銘柄が引き続き選ばれている。コメの産地は価格高騰の影響を相対的に受けにくく、結果として購買行動が変わりにくかったと推察される。

 備蓄米の味にも注目が集まる中、今後価格が落ち着いたときに、味を重視した銘柄米に戻るのか、価格重視でブランド米の買い回りが広がっていくのか、今後のコメの買い方に注視したい。

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