清涼飲料やビールなどの飲料業界6団体で構成する公益社団法人食品容器環境美化協会(略称・食環協、会長・田中美代子氏)が、地域と協働で環境美化活動を行う小・中学校等を支援しようと、2000年に開始した環境美化教育優良校等表彰事業。25回の節目となる本年度は、全国の都道府県より推薦された小・中学校等31校の中から、最優秀校4校が決定した。
児童生徒が主体的に取り組む優れた活動をシリーズで紹介する。初回は、文部科学大臣賞を受賞した鹿児島県肝付町立岸良学園だ。「第25回環境美化教育優良校等表彰式」は1月31日、浅草ビューホテル(東京都台東区)で開催される。
毎年ウミガメが上陸し産卵する岸良海岸が校区にある義務教育学校の同校。「ウミガメ科」という独自の教科を取り入れており、1年生から9年生の児童生徒が学年に沿ったテーマで学びを深めている。
なかでも、25年以上続く「ウミガメ保護活動」は、保護者や住民の協力が欠かせない地域行事だ。ウミガメの産卵シーズンになると、住民たちによる砂浜巡回活動がスタート。産卵情報に基づき、児童生徒は採卵し、同校の敷地にある「ウミガメハウス」に移し保護する。ふ化するまでの間、気温や砂の温度などを毎日決まった時間に計測し、記録。
鈴木美愛(みえ)レイラさん(7年)は、「地域の方々は、ウミガメが上陸したらすぐに私たちに知らせてくれるのでとても助かっています」と感謝しつつ、「感動するのは、ウミガメハウスの巣穴からウミガメの赤ちゃんが出てくる瞬間です」とほほえむ。
ふ化後は放流会を開催。住民にも声をかけ、子ガメが海に向かう姿を地域一体となって見送る。
「ウミガメ科」開設に伴い、かごしま水族館と連携協定を結んだ効果も顕著だ。同校での記録データを水族館に提供したり、同館の学芸員を招いて住民を招待しウミガメ講演会を開催したり、貴重な知識や情報が行き交う関係性が築かれている。
その一連の取り組みは、ウミガメ保護という側面だけではなく、ふるさとの環境保護意識向上につながった。住民と行う岸良海岸の漂着ごみ回収をはじめ、休耕田を利用したもち米栽培にも挑む。
岸良地区公民館長の中原栄子さんは、「この地域も高齢化が進んでいますが、子どもたちの頑張る姿を見て、私たち大人も負けていられないという気持ちになり、常に元気をもらっています」と語る。
そんな住民に見守られながら、児童生徒は町内外で行われる発表会で発信しながら、郷土愛を育んでいる。