日清製粉は11月18日、経営幹部や管理職を対象にした「秋季経営セミナー」を都内で開催。約300人の会場聴講者のほか、オンラインでのライブ配信も行った。セミナーは京都府立医科大学教授の内藤裕二氏と、PGHエンタープライズ社長の窪山哲雄氏を講師とした2部構成で行われた。
冒頭、山田貴夫社長が聴講者にあいさつ。山田社長は「昨今、食品関連の業界では各企業はより生活者の志向に根差した取り組みが必要になっている。当社も昨年から高食物繊維小麦粉『アミュリア』を販売しているが単に特徴のある小麦粉製品ではなく生活者の健康の一助になるような新市場を開拓することを目指している。現在、小麦粉流通や二次加工業界、小売・流通の皆さまと一緒になって取り組みを進めているところだ。第1部では健康観を皆さまと共有するという思いから内藤教授をお迎えした。腸内細菌が健康に与える影響に着目し、小麦粉にも含まれる発酵性食物繊維の有用性についてお話いただく」と健康に関するテーマを盛り込んだ経緯を説明。続けて「第2部では窪山社長から、これまでの実績と科学的な視点を踏まえたホスピタリティーマーケティングの観点から顧客に選ばれる企業になるための手法についてご講演いただく。ご参加の企業経営に役立ててほしい」と述べた。
内藤教授は人生100年時代の健康栄養学によるがん・フレイル対策の重要性を指摘。自身らの京丹後長寿研究で分かった胃腸の虚弱(ガットフレイル)が引き起こす数々の疾患を例示した上で、腸内環境を整えることの重要性を指摘した。さらに腸内環境を整える食生活について紹介し、腸内細菌が好んで食べる高発酵性食物繊維の摂取の重要性を呼びかけた。
窪山社長は「選ばれる企業になるための価値共創」を3つの視点から紹介。ハウステンボス内のホテル群を運営していたNHVホテルズインターナショナルの社長時代に進めた戦略や、ザ・ウインザーホテル洞爺で北海道洞爺湖サミットを開催するまでの取り組みなどを振り返った。講演の後半では、顧客戦略の変化として特定少数との長期的な関係構築について触れた。さらに、コモディティー戦略から脱皮し、個々の顧客の価値観を追求することが必要だと強調し、「選ばれる企業への道は品質の追求と顧客に寄り添うサービスを実践すること」と語り、締めくくった。
講演の幕間には、日清製粉が「アミュリア」のプレゼンテーションを実施。焼き菓子やパンなどの試食も盛況だった。