二十歳を過ぎた愚息は、中学生の頃からスマホを見ながら食事をしている。叱ったことは一度や二度ではない。その度に「TVを見ながら食事する大人と変わらない」などと言い返された。飲食店ではスマホを片手に料理をかきこむ若者の姿が目立つ。若い世代は食への興味を失ってしまったのだろうか。
▼味の素が一人暮らしをする500人を対象に実施した調査では、10~20代の約8割がスマホを見ながら食事をしていることがわかった。「毎日している」という人は6割に上り、幼い頃からスマホに親しんできた人達にとっては当たり前の行動になっているようだ。
▼あながち否定ばかりもできない。調査では6割の人が「複数で食事をする時の方が、満足度が高い」と答えた。「食事が作業的になっている」という自省的な回答もあり、孤食が食への興味を持てない一因であることも伺える。
▼社会環境の変化により、食事の形態は多様化した。人々の食に対する価値観も変わった。自身も毎食を楽しんでいるとは言い難い。調査結果は、食事への向き合い方を考えさせられるきっかけになった。