キユーピーは10月30日、タマゴセミナーを開催した。同社では、卵の価値と可能性について理解を深めてもらうことを目的に報道関係者を対象に実施した。
冒頭、壇上に立った同社研究開発本部執行役員本部長の金光智行氏は、日本人1人当たりの鶏卵年間消費量が世界第2位の339個であると紹介。消費量が緩やかに増加している理由について、卵がおいしくて安全な食材であるとともに、正しい知識が社会に浸透したことなどをあげた。
一方、キユーピーグループでは国内生産量の約1割に当たる年間25万tの鶏卵を扱っていることを報告。同社の卵関連の特許取得数は世界第1位で、卵のソムリエとして知られる五つ星タマリエの資格者3人がグループに所属していることなども語った。
金光氏はファインケミカル領域での卵の用途についても説明。卵殻膜が化粧品のスキンケアや毛髪のパーマ剤、ストッキングや車のシート、内装といった分野にも利用されていることを紹介し、「ファインケミカルでの仕事を通じて、卵が食だけでなく多くの業界に寄与していることを実感した。当社は卵の潜在能力を活用している企業だ」と述べた。
未来創造研究所機能素材研究部チームリーダーの児玉大介氏は「科学で解き明かすタマゴの力」と題して、卵の栄養について解説。卵黄コリンを主成分とした機能性表示食品「コリンEX」や、認知機能の維持に関するヒト臨床試験の結果を紹介した。また卵とコレステロールの関係についても、「食事由来のコレステロールは2割程度に過ぎず、健康な人が卵を食べても血中コレステロール濃度に影響しない」と健康面を不安視する必要がないことを強調した。
児玉氏は最近のトピックスとして卵殻の消臭機能を利用したごみ袋や、においを吸着するフィルターの採用例を紹介し、鶏卵の主要なアレルゲンであるオボムコイドを含まないアレルギー低減卵の特徴にも触れた。
最後に食創造研究所卵開発部担当部長の兒嶋高志氏が加工卵について説明。加工卵はユーザーにとって調理のしやすさや時間短縮、経済性などの利点がある。兒嶋氏は卵の起泡性や熱凝固性といった物性面のメカニズムも解説し、練り物やハム、麺などで使われる乾燥卵白の凝固の特徴を語った。
説明を受けた参加者は2種の液全卵を使ったロールケーキと物性の異なる乾燥卵白を添加したハンバーグを試食により比較した。