小売業態では近年慢性的な人手不足が叫ばれて久しい。募集をしても人が集まらないという嘆きの声も多く聞かれる中、時給の高騰が経営状況に追い打ちをかけている。
▼この人手不足に対応すべく、省人化を図るためのセルフレジを導入するとシステムなどを入れ替える必要が生じてしまい、それだけ多くのコストがかかることになる。その分を売上や利益でカバーするのは容易なことではない。
▼とくに地方の小売業態では廃業や倒産、大手との統合に直面するなど事態はより深刻化している。従来みられていた24時間営業を見直す企業も出てきているなど厳しい現実に直面している。
▼こういった状況下でクローズアップされているのが「103万円の壁」の問題だ。パートやアルバイトなど非正規労働者を多く抱える小売業態にとって当問題の解消は働きたい人が制限なしに働けるという面で人手不足の改善につながる。その一方で「106万円の壁」や「130万円の壁」などの問題についても待ったなしとなっており、企業側に負担を軽減する抜本的な解決が求められている。