明治は10月1日から、植物性ミルク「明治まるごとオーツ オーツミルク」(1000㎖、税込507円/200㎖、同162円)を全国展開する。「全粒穀物繊維」「βグルカン含有」の2つの強みを全面に打ち出し競合商品との差別化を図りながら、植物性ミルク市場のさらなる拡大を目指す。
9月19日の説明会でグローバルデイリー事業本部牛乳・飲料マーケティング部の明治賢児氏は「最終的に牛乳や乳製品のような定番商品として浸透させたい」と展望した。同製品最大の特長は、全粒穀物を使用している点にある。全粒穀物とは穀物の最も外側のみを除いた未精製の穀物で、米で例えると籾殻(もみがら)を取り除いた玄米に相当する。
なかでも明治が着目したのが、水溶性食物繊維に含まれる栄養素βグルカンだ。
βグルカンは健康課題への有用性が期待されるが、液状で残すことは非常に難しい。一般的なオーツミルクはオーツ麦の表皮を取り除くためβグルカンがほとんど残存しないうえ、サラサラと飲みやすくさせるためにβグルカンを分解する酵素を使うことも多い。一方で「明治 まるごとオーツ オーツミルク」は全粒オーツ麦をまるごと使用し、特殊な酵素処理でβグルカンを多く残存させる工夫も施している。これによりβグルカンを豊富に含むほか、素材の味が引き立つクリーミーでまろやかな味わいも大きな特長となっている。
同本部デイリー開発部の堀田健一氏は製品メリットとして「お腹の中から体の調子を整える」「くせが少なく、飲みやすくクリーミー」などを挙げる。関東エリアの販売では実際に、健康意識や全粒穀物繊維、おいしさが購入理由の上位にあがった。今後はメーンターゲットである健康意識が高い30~50歳代男女を中心に、「オーツミルクを多くの人に経験してもらうことを重点的に取り組む」(明治氏)とし、試食販売や用途提案で顧客接点を強化する。
同社によれば、2020~2023年の植物性ミルク市場は微増で推移。オーツミルクの市場規模は26億円程度で、豆乳やアーモンドミルクに比べると構成比は3%と小さいが、世界ではオーツミルクが植物性ミルク市場の約2割を占めていることから「まだまだポテンシャルがある市場」(同)と捉えている。今後は、26年度にオーツミルク市場規模35億円を目指すとともに、現状11%ほどの市場シェアを20%まで拡大したい考え。