テーブルマークの冷凍うどんが2024年に発売50周年を迎えた。
現在は年間6億食を製造。家庭用・業務用とも市場で圧倒的な支持を確立し、いまや国民食とも言える存在に育った。その感謝を伝えるべく、今年は消費者キャンペーンや試食・体験イベントなどを積極的に展開する。一方、発売当時(1974年)は「冷凍うどんが『おいしい』という認知はほぼゼロだった」(同社)。今のように市場へ浸透するまでは、弛まぬ品質改良と営業努力の積み重ねがあったという。
50周年の節目を迎え、同社は「今年はご愛顧いただいている皆さまに感謝を伝えるとともに、リーディングカンパニーとして次の50年を見据えた需要創造にもチャレンジする」との意気込み。
記念施策の一環で3月から「50周年ロゴ入りパッケージ」を展開中。また4~8月末の期間で「テーブルマーク冷凍うどん 50周年ご愛顧感謝!キャンペーン」を実施する。抽選で1万5千500人にLINEポイント、PayPayポイントが当たる。クローズド形式で、対象商品は「さぬきうどん」「稲庭風うどん」など23品。
一方、4~12月末まで特設サイトをオープン。冷凍うどんの歩みやこだわりを紹介した「50周年記念ムービー」をはじめ、600以上のうどんレシピなども公開。また各種施策と連動した情報発信も行っていく。
最需要期の秋冬に向けて商品の供給体制を強化しながら、周年記念をさらに盛り上げていきたい考え。また消費者と交流が可能な体験イベントを計画。キッチンカーを派遣するなどし、ゆでたてのおいしさを子どもや家族らに提供する企画も検討している。
ヒットまで試行錯誤重ね15年
テーブルマークの冷凍うどんは、職人技の工程を機械で再現した独自製法が特長だ。なかでも麺を一本一本切り出す「包丁切り」、麺にストレスをかけない「大釜茹で」の2つがポイント。これらのこだわりで理想的な強いコシと弾力、もちもちでなめらかな食感などを実現している。
原点は「本場さぬきのうどんを全国に広めたい」との想いだ。香川県で誕生したメーカーとして約50年前、「冷凍うどん」という新ジャンルの開拓をスタートさせた。
しかし当時はうどんと言えばチルド麺が主流。「讃岐ブランド」も全国的には知られておらず、売上は思うように伸びなかった。生産工程で課題もみられたことから、いったん販売を中止するに至ったという。そこで当時、製造上の課題を解決するため、製粉メーカーや製麺機メーカーと協力体制を組み、冷凍うどんの開発に再チャレンジ。1980年のことだった。生地中の空気を抜く真空ミキサーを導入したほか、小麦粉の配合や麺のゆで時間についても研究や試作を重ねた。それらの努力が実を結び、まずは外食店に提案して評判を呼び、84年から家庭用への販売を再開。おいしさが徐々に知られることとなった。
営業スタッフの後押しも見逃せない。家庭用では全国スーパーにおける店頭試食に加え、小売店や団地に出向いてサンプルを配布。業務用では外食店を1軒ずつ地道に訪問し、冷凍うどんの魅力をアピールした。
市場への定着が加速したのは発売から15年を経た1980年代後半だという。同社は「瀬戸大橋の開通(88年)で讃岐うどんの認知が高まった効果が大きい」と話す。近年の商品改良では08年に「さぬきうどん5食・3食」などを個包装にリニューアル。簡便なレンジ調理が浸透し、需要拡大の追い風となった。
年間の生産量は92年に1億食、99年に3億食、12年に5億食、20年に6億食を達成。市場でトップシェアを確立している。
家庭用の商品ラインアップを見ると、玉うどんは主力の「さぬきうどん5食・3食」を大黒柱に、こだわりの独自製法でワンランク上の品質に仕上げた「丹念仕込み 本場さぬきうどん3食」、のど越しが良いなめらかな細麺の「稲庭風うどん5食・3食」など豊富に品揃え。具付うどんの定番「讃岐麺一番」シリーズでは「肉うどん」「きつねうどん」などを販売。