味の素は、3月7日に開いた春季労使交渉で、味の素労働組合要求金額であるベースアップ1万4千円に対し一発満額で回答し、妥結した。これにより定期昇給および制度改定を含め、2年連続で1人当たり6%相当、平均2・1万円以上となる賃上げを行う。同社では「高い目標へ挑戦する原動力において、最も大切な人財資産への投資強化によりエンゲージメントを高めていくことが企業価値の向上において不可欠。この取り組みの一環として、昨年度と同水準の6%相当の賃上げを決定した」としている。新卒入社時の初任給も引き上げ、正規雇用者のみならず非正規雇用者も物価上昇分をベースにした賃上げを実施する方針を決定した。
今年の賃上げについて同社では「デフレ経済下の悪循環から脱却するには、企業における徹底した事業の効率化などの自助努力で吸収しきれないコストを価格に反映させる適切な値上げや、商品の価値に見合った価格設定(バリュープライシング)と、物価上昇などの社会環境や企業業績、労使関係などをふまえた適正な賃上げによって経済の好循環を醸成していくことがカギである。また、そうした好循環が、『失われた30年』という日本経済低迷トンネルからの脱却につながる好機と捉えている」とコメントしている。