音と発酵プロジェクト

日常の音楽がサブスクなどで簡単にダウンロードできるようになり、より身近になったかと思う一方、最近は様々な曲がありすぎて逆に聞く機会が減ったような気がする。その中でも魅力的な曲は国内外で発信され、多くの人たちを楽しませている。

▼愛知県西部の老舗みそ醤油メーカー・佐藤醸造では昨年から2年かけて、木桶で醸造するみそに環境音楽を流し、その過程を公開する「音と発酵プロジェクト」をスタートした。

▼国内外で酒や食品に音の振動を与える同様の取り組みはあるが、佐藤醸造では新商品開発だけでなく、みそ蔵に訪れた人が音楽を聞きながらみそを使った菓子やおつまみと酒を味わう体験会を開くことで需要底上げを狙う。その取り組みは農林水産省の「食かけるプライズ2023」を受賞。「訪日観光客にとって魅力的な体験事例か」などが審査され、インバウンドの本格的な再開を好機に、訪日外国人を通して世界に発信する。

▼人口減少などで国内市場のさらなる減退が予想される中、インバウンドの拡大と輸出拡大は急務だ。地方の企業の小さな取り組みの積み重ねの中にこそ、この現状を打開する鍵が潜んでいるのではないか。

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