六甲バターは今期(24年12月期)、新たな高付加価値商品を積極的に提案していく。主力のベビーチーズでは地域の名産を盛り上げる新商品を投入するほか、植物性シュレッドチーズやオーツミルク、アイスなど、チーズにとどまらない多面的なアプローチで変化する消費ニーズに寄り添う。
斎藤保典取締役常務執行役員営業本部長は「3度の価格改定後の価値をどう伝えるかが課題。チーズの一本足打法ではなくオーツミルクやアイス、デザートも5年後、10年後に向けて強化していく」と述べる(2月13日の戦略発表会)。
武田洋平マーケティング部部長は「昨今チーズの競争環境は激化している。手に取ってもらえるよう細かい価値観や生活スタイルに寄り添う目線で、開発や既存品の育成に取り組んでいる」とし、引き続き環境変化に対応しながらQBBらしさを全面に出した商品で収益改善・物量回復につなげる考えを示した。
春の新商品では主力のベビーチーズから「Q・B・B 日本の名産ベビーチーズ 北海道産ホタテ入りバター醤油仕立て」「同 神戸牛入り」(54g、希望小売価格税別280円、3月1日発売)を投入。北海道湧別産ホタテの濃厚な旨味やステーキ肉の香ばしさをチーズで表現した。味わいに対する流通の評価は上々。コンセプトに興味を持つ声も多く期待の新商品となっている。ベビーチーズは5月にキャラクターデザインの商品を用いた大型販促を用意している。
植物油脂とチーズを独自にブレンドした「Q・B・B チーズinスライスCHEASY7枚入」「同とろけるスライス同」(105g、OP、同)は、「おいしいチーズを少しでも求めやすい価格で販売したい」との思いから開発に至った。
「Q・B・B チーズデザート6P 静岡県産クラウンメロン」(90g、365円、3月1日~8月末)も果肉と果汁を贅沢に使い本物の味わいを追求した自信作だ。
新たな切り口では、プラントベースドフード(PBF)とアイスの販路拡大を掲げる。
「チーズ好きのための植物性」と銘打った「QBB PLANT MADE」ブランドから発売する「Q・B・B Pシュレッド」(OP、150g、東日本3月1日/西日本3月20日)は、チーズのような濃厚さととろける食感を再現した100%植物性食品。一部業務用でテスト販売し好評だったことから、家庭用に販路を広げる。25年の大阪・関西万博では同商品を含む植物性食品を使ったメニューを提供する。
植物性飲料では、輸入販売するオーツミルク「OATSIDE(オーツサイド)」の実績が昨年、5千700万円となった。うち家庭用が6割強でECサイトの売上は2千400万円に上ったことから、今期はさらにEC強化で2億円程度の販売実績を目指す。
チーズを使った大人向けのプレミアムアイスは関東圏中心に約300店舗で取り扱っており、今期中にラインアップを増やしてブランドの存在感を高めていく。