加工食品調味料・カレー類キユーピー 髙宮社長 幾多の困難乗り越え再成長から継続発展へ
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キユーピー 髙宮社長 幾多の困難乗り越え再成長から継続発展へ

キユーピーの24年度は、売上高が249億円増収の4千800億円、営業利益が58億円増益の255億円を計画している。これは鳥インフルエンザ発生により想定されるリスクを最初から織り込んだ“控えめ”とも言える計画だ。23年度は鶏卵不足による休売で卵関連市場は縮小した。今期は卵メニュー復活に向けた取り組みにも力を注ぐ。髙宮満社長にポイントを語ってもらった。

グローバル展開加速へ

グローバル市場で勝ち抜くために、グループの資源を「国内高質化」「海外成長」「サステナビリティ」に集中投資することで、再成長から継続発展のステージへと歩みを進める。外的要因の変化で当社の国内事業は苦戦を強いられたが、それを乗り越える力を身につけてきた。マヨネーズの値上げは浸透し、ブランドと商品の強さを再認識できた。生産性改革の取り組みも始まっている。業務用では市場回復が続く中、原料リスクに左右されないオイル低減商品のラインアップ拡充により多様なユーザーニーズに対応している。ドレッシングは家庭用の基幹商品となる「深煎りごまドレッシング」と「テイスティ黒酢たまねぎドレッシング」の育成を進め実績を上げた。

調味料分野で付加価値を加速させるためのポイントが二つある。まずサラダ領域の拡大による付加価値化。サラダ領域の拡大は当社の使命であり、「サラダファースト」の名のもと、グループ一丸で進めている。二つ目は健康機能商品の育成。認知度の高いアマニ油を使用した商品では、手応えを感じている。成長に向けた攻めのテーマも忘れてはいない。タルタルソースを使った食提案とメニュー開発をグループ横断で進める。春の家庭用新商品「具だくさんレモンタルタル」の評価は上々。内中外の全方位提案できる強みを生かし、次の中計期間までに100億円の売上規模にカテゴリー育成を進める。

国内基幹ビジネスの大きな課題は卵関連市場の回復。昨年の鳥インフルエンザの大規模発生は当社の経営に大きなダメージを与えたのに加え、卵を原料とする市場を縮小させた。現在、鳥インフルエンザは感染ピークを迎えているが、今期の当社の備えは万全だ。お客様の不安を払拭しながら、魅力ある商品開発と提案を進める。

新領域ではプラントベースフードブランド「グリーンキユーピー」を育成する。当社初となるカテゴリー横断、グローバル展開を前提としたビジネスだ。「酢酸菌GK―1」を活用した健康貢献への取り組みも進める。昨年は免疫ケアの機能性表示食品を消費者庁に届出した。「酢酸菌GK―1」は多様な健康特性が期待できる独自素材であることに加え、あらゆる食品に配合可能な特性がある。外販では数十社と商談を進めている。

グローバル展開は順調に進む。主力の「キユーピーマヨネーズ」と「深煎りごまドレッシング」に集中し、各国でのブランド認知は順調だ。今年度の事業利益計画は4年前の約2・5倍となる120億円を見込む。25年にはアジア・パシフィックと米国で三つの生産拠点が一斉に稼働する予定だ。タイの新工場からは各国への輸出も計画している。インドネシアは世界第4位の人口で成長途上にある。米国新工場稼働では念願であった東海岸への本格進出を実現できる。また豪州に販社を新設する計画だ。

サステナビリティはコストではなく、未来投資と位置付けて取り組んできた。30年度末までのサステナ目標は、現中計終了時点での目標値を2年前倒しで達成したテーマも複数ある。「テイスティドレッシング」と機能性ドレッシング全品で100%再生PETボトルを採用し、神戸工場ではCO2ネットゼロを実現した。

食品ロス削減では廃棄を減らすステージからアップサイクルとして新たな価値を生み出すステージへとバージョンアップが始まった。

当社では、国内依存からグローバル展開する企業体へと変化している。困難を乗り越えて企業の成長を描けることに自信を持ち、グループ一丸で取り組む。

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