企業向け弁当 衛生管理強化 温蔵を提案、人手不足に対応 サンシャイングループ田川幸雄社長

広島県を地盤に企業向けの宅配弁当を製造するサンシャイングループ(本社・広島市)。昨年1月の口田工場に続き、10月には深川工場(いずれも広島市安佐北区)が広島県食品自主衛生管理認証を取得した。田川幸雄社長に市場環境や今後の展望を聞いた。

――最近の市場動向はいかがですか。

田川 コロナ禍で出社しなくても良いという働き方が主流となり、コロナ後もそれが定着している。昼食の取り方もデリバリーなどが広がり多様化した。そのような中、産業弁当の市場は狭まり、厳しい経営環境を背景に淘汰が進んでいる。

――今回、広島県食品自主衛生管理認証を取得した狙いは。

田川 当然ながら、衛生面には以前から非常に気を配ってきた。ただ、自分たちのレベルで気を付けてきたというものなので確信がない。まず、品質管理部を新設し、これまで衛生面で取り組んできたことを数値化した。

それを社内にフィードバックしながら改善を進め結果も向上してきた中で、HACCPに沿った衛生管理基準であるこの認証制度を目標に取り組み、昨年、両工場とも取得することができた。今後、これをベースに継続し、次の食品衛生基準としてJFSの取得を目指す。

――貴社が製造する商品の特徴を教えてください。

企業向けの弁当(サンシャイングループ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
企業向けの弁当(サンシャイングループ)

田川 一般的にはパートの人でも簡単に調理できるよう、冷凍の惣菜やパウチされたサラダを使うことが多いが、われわれは手作り感のある弁当を提供しようと職人が素材から調理している。プロが使う調味料で仕上げるだけでなく、冷めても味が薄くならないよう、また、濃すぎないよう職人が計算し、それをレシピ化した上で製造している。

産業弁当は不特定多数ではなく、毎日同じ人が日替わりのメニューを食べる。昨今は健康経営が注目され、企業も従業員の健康を意識している。一方で衛生面に注力すると、保存料などに傾きがちになる。

それらを極力使用せず、なおかつ衛生面において安心できる弁当を提供しなければならない。それが今回の認証取得につながった。

――先ほどの話では業界の淘汰が進んでいるということですが、今後の市場展望と取り組むべき課題は。

田川 市場環境は厳しいが、新たなニーズが生まれている。企業が食堂を設け、そこに人員を置いて調理するとなれば人件費をはじめとするコストが合わなくなってきている。

そこで、冷凍した弁当を温蔵庫で保管し、昼食に提供するという方法が考えられる。従業員の方々は朝に注文しておけば、昼に温かい弁当が食べられる。調理の人員が必要ないので、企業にとってはコストダウンになる。

当社にとっても省人化につながる。現在は早朝に製造し正午までに配送、昼から容器を回収するというシステムだが、早朝に人が集まりにくくなっており、物流も人手が足りない。冷凍であればストックが可能なので、早朝に製造する必要はなくデリバリーもまとめてできる。さらに、食品ロスも出ない。こうした取り組みを実験的に進めている。