マルサンアイ 岡崎のみそ工場 1年半かけ閉鎖へ 「みそ事業」10分の1に縮小

大豆を原料とする豆乳をはじめ赤だしみそ「懐石」や「純正こうじみそ」、「味の饗宴」などのみそを展開する愛知県のマルサンアイは、およそ1年半かけて岡崎市のみそ工場を閉鎖し、みそ事業の生産規模を10分の1まで縮小すると発表した。今後、子会社の玉井味噌がある信州の工場でみその製造を続けていくが、ラインアップは大きく見直し、国産原料に特化したみその製造にシフトしていく計画。「量」から「質」への転換を進めることで、収益力の高いブランドづくりを進めていきたい考え。

同社は1952年、前身となる岡崎醸造を設立。64年に「ミックスみそ」、70年に「純正こうじみそ」、72年に「懐石」を発売するなど中部エリアを中心にシェアを獲得してきた。ただ、人口減少などみその需要低下とともに売上げが年々減少。さらに大豆などの原材料の高騰もあり厳しい状況が続いていた。

一方、80年に豆乳工場が完工後、健康志向の高まりなどを受けて需要が拡大。23年9月期決算では、「みそ事業」が43億1千700万円(前年比6.2%減)だったのに対し、「豆乳飲料事業」が244億3千400万円(同2.6%増)とおよそ6倍に成長しており豆乳グルトやチーズタイプの豆乳シュレッド、豆乳スライスなどチルド事業は前年比128%と堅調を維持している。

今後の方針では、みそ事業の新たな価値の創造として利益率の低い商品を見直し利益の底上げを図るほか、国産原料に移行していくことでより質の高い商品を提供しブランド力を高めていく。

豆乳飲料事業では、付加価値商品の開発、業務用の拡大などさらなる売上げ拡大を図る。

2030年までを見据えた長期計画では、「植物性のコア事業を中心に健康な未来に繋がる商品開発」「マルサングループが作り売るべきイミ商品への傾注」などを商品戦略に掲げ、売上高の拡大に加え、利益率約10%を目標としている。