アベノマスクをリサイクル

急な冷え込みに慌てて衣替えをしたところ、タンスの奥から「アベノマスク」が出てきた。未曾有の流行り病がこの世に突如として現れてから、もう足掛け4年になるのか。マスクを求めて奔走した日々が一瞬にしてよみがえる。

▼辛うじて鼻と口を覆えるサイズ。せっかくだから使ってみようと一度すすぎ洗いをしたそれはいっそう縮んで、コロナの残滓のごとく映る。

▼他に使い道はないかとネットで検索すると、「ハンカチ」「汗取りパッド」「雑巾」「おむつ」「鍋つかみ」「コースター」となかなか多彩だ。「苗床」や「猫のおもちゃ」に至っては、見当違いの政策を揶揄したようにも思われる。

▼コロナ禍を経て生活様式は大きく変わったが、この災厄が収束すれば平穏な日々が戻ってくると思っていた。ところがどうだろう。世界各地では勃発する戦争に怯え、国内においては急速に進んだ物価高に喘ぐ日々。国民から搾り取ることしか考えていないわれらが宰相の口から出るのは増税とバラマキのことばかり。ああ、それなら彼の人の口を塞ぐのが、このマスクの最良の使い道なのかもしれない。