キリン ウイルス感染対策に光 幅広く対応 プラズマ乳酸菌

NK細胞やキラーT細胞など複数の免疫細胞に指示を与えて統括するpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)。個々の免疫細胞ではなく、この司令塔であるpDCを活性化させることが、年々増加し多様化しているウイルス感染リスク対策に有効となる。

乳酸菌で唯一このpDCを活性化させるのがキリングループの独自素材であるプラズマ乳酸菌。このほど、キリンの研究により、プラズマ乳酸菌が幅広い種類の細菌やウイルスの侵入を防ぐ可能性と防止をサポートし、インフルエンザワクチン接種群でより効果を示す可能性があることが新たに分かった。

藤原大介主査(キリン 農学博士) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
藤原大介主査(キリン 農学博士)

4日、都内で発表したキリンの藤原大介事業創造部主査(農学博士)はプラズマ乳酸菌の可能性について「ブロードに効く。医学部の先生方が共通でおっしゃるのはワクチンの限界で、プラズマ乳酸菌と併用することでさまざまなウイルスに対して効くのではないかとお声がけくださっている」と説明した。

新たな研究結果では、異物侵入ルートである唾液・腸管・鼻腔などの粘膜部分でさまざまな種類の病原体に反応し細菌やウイルスの侵入を防ぐⅠgA(免疫グロブリンA)の発現にもpDCがかかわっていることが明らかにされた。

プラズマ乳酸菌摂取群でIFN―α(インターフェロンα)の産生量を維持することも判明。「IFN―αが産生されれば、どんなウイルスでもウイルスそのものを溶かすような要素を発現するなどブロードに効くものとして型を選ばずに効果が認められると考えられる」。

またプラズマ乳酸菌乳酸菌摂取群の中で、インフルエンザワクチンの接種歴のある被験者では、インフルエンザワクチン非摂取群と比べて、インフルエンザウイルス抵抗性遺伝子の発現量の維持効果が顕著に認められた。

ヒト試験では、プラズマ乳酸菌乳酸菌摂取群に1日当たりプラズマ乳酸菌1千億個(50㎎相当)入りカプセルを継続的に投与。「最短2週間で血液中の免疫パラメーターで有意な差が認められた」。

pDCは血液中に0.1%程度含まれており、増減することなく約2週間おきに新しいpDCへと入れ替わる。「組織の中で司令塔がたくさんいるとうまくいかないのと同じで、量は非常に少ないが機能としては極めてパワフル。自らもIFN―αをつくり、さらに他の免疫細胞にも指示する」。