三栄源エフ・エフ・アイ ・日本食品科学工学会「技術賞」受賞 ・食品の新評価方法を確立

三栄源エフ・エフ・アイは、8月24~26日に開催された「日本食品科学工学会 第70回記念大会」にて「技術賞」を受賞した。この賞は当年度までに実用的に高く評価される業績をあげた者、または共同研究開発者に授与される。

受賞テーマは「ヒトの摂取メカニズムを考慮した力学測定およびヒト生理計測による食品テクスチャーの評価と加工食品のデザイン」。同社では大学など研究機関とともに食品テクスチャーの新規評価法を確立し、これを応用した加工食品の開発に取り組んできた。本研究領域で2011年以降、原著・総説合わせて約40報の論文を投稿し、これらの実績が評価された。

受賞対象となった研究の一つ「舌での押し潰しの機械的再現によるテクスチャー評価」は、ゲル状のやわらかい食品などを測定する「かたい治具」が摂食過程の舌の変形が考慮されないため、結果にヒトが知覚するテクスチャーを反映しない可能性がある。そこでヒトの舌と硬口蓋(上あご)での押し潰しを機械的に再現する目的で、やわらかい素材からなる人工舌と一軸圧縮試験機を組み合わせた評価系を開発。高齢者向けの水分・栄養補給ゼリーや総菜ゼリーなどの食品開発に応用している。

「生理計測によるテクスチャー評価」は、摂食や嚥下過程でヒトが筋肉を動かす時に発生する電気信号を測定する筋電位測定装置、ヒトの喉に張り付けるマイクを用いた嚥下音測定装置、さらには新潟大学が開発した、上あごや喉に張り付ける薄型の感圧センサーを用いて、ヒトの摂食・嚥下挙動を解析し、食品や飲料のテクスチャーを評価する方法を確立した。この評価系を用いることにより食べやすさ、飲み込みやすさといった従来数値化しにくかったテクスチャー特性を評価することが可能になった。同社では加工食品や飲料以外に、とろみ調整食品の開発に活用している。