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流通・飲食丸正高木商店 高木良典社長 「黄色い建物“タカギ”」を定着 大量仕入、大口対応が強み

丸正高木商店 高木良典社長 「黄色い建物“タカギ”」を定着 大量仕入、大口対応が強み

京都市で菓子・食品卸を営む丸正高木商店。C&Cの「卸売ひろばタカギ」を展開し“黄色い建物のタカギ”として一般市民にも親しまれている。今年6月、4代目社長に就任した高木良典氏に話を聞いた。

  ◇  ◇

「入社当時は営業として、地元のスーパーや大学の売店などを担当し、菓子や食品を売り込んだ」と振り返る。

京都市は大阪や滋賀に比べると大手チェーン店の進出は遅かったが、近年は郊外から市街地に至るまで新たにオープンする店が増え、一方で地元小売業の廃業も目立つようになった。大学や病院の売店もコンビニに取って代わった。

「私が営業をしていたころは、地元スーパーに食品と菓子の納入を任せてもらっていた。だが、そのような店が減り、現在はスーパーに向けては大手卸から入ってこないようなスポット品や特売品を中心に納めている」という。

自社ではC&Cの「卸売ひろばタカギ」3店(三条店、桂店、高槻宮野店)と農産物直売所の「産直ひろば」を展開。店舗販売だけでなく、大型の倉庫に大量の在庫を持ち、大口注文に対応する。そして、そのことが同社を特徴づけている。

「例えば、映画村の役者さんに凍らせたスポーツドリンクを千個単位で届ける。それだけの数に応えられるスーパーや問屋は京都にほかになく、当社の強みとなっている」。

京都を中心とした伝統的な祭り「地蔵盆」には50年以上前から携わっており、地域の子どもたちに配る菓子を提供し続けてきた。だが、コロナ禍で祭は縮小や中止を余儀なくされた。

「一部の年配者からは、もう縮小したままでもよいのではという声もあった。だが、逆に若い世代の親たちが形を変えてでも存続してほしいと熱心だった。私が小さいころから地蔵盆には商売度外視でかかわってきた。今でも『地蔵盆をするならタカギに』と言っていただくお客様が多い」。玩具問屋とタイアップするなどさまざまな取り組みを通し、京都市の無形文化遺産である地蔵盆の存続に力を入れる。

食品の高騰が続き、「お客様は今まで以上に価格に敏感になっている」と実感する。こうした中、カップ麺などの売上が伸びている。賞味期限が近付いてきたメーカーの在庫を大量に買い取り、一般のスーパーに比べ安く販売し、節約志向の強まった買い物客を取り込む。「大量仕入れができることが当社の強み。以前は多く仕入れても売り切るのが難しいこともあったが、今は一日で売れる場合もある」と消費動向の変化を感じている。

旗艦店の三条店
旗艦店の三条店

客数が伸び悩むスーパーが多い中、同社の3店舗は今期以降、客数が落ちることなく順調に推移。特に旗艦店の三条店は、顧客に飲食業の関係者が多いこともあり好調だ。

23年1月期の売上高は54億円。前期はコロナ支援の特需などがあったため、今期は2%増の慎重な計画を立てる。売上のうち店舗が約7割を占め、あとの3割がスーパーや土産物店、景品、輸出などの外販。このほか、一般企業向けの出張販売にも力を入れる。例えば、地元企業の工場内にある食堂に菓子を持って行ったり、ミニカップ麺の袋詰め放題を行ったりとさまざまな方法で販売を行う。「大きな売上にはならないが、店のPRにつながる」と狙いを明かす。

6年後の2029年には創業100周年を迎える。「京都では100年続いて、ようやく認めてもらえると言われる。今後さらに大きく伸ばすというよりも、地元で足場をしっかりと固め『黄色い建物と言えばタカギ』とすぐに思い出してもらえるような企業を目指す。その上で、『京都でまとまった買い物をするならタカギ』というのを定着させたい」。

【プロフィール】1962年2月5日生まれ(61歳)。大阪経済大学卒業後、タジマヤを経て丸正高木商店に入社。営業部長、常務を歴任し今年6月社長に就任。

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