生乳余りから一転「不足」の危機感 背景に酪農家が子牛の仕入れを手控え

乳業メーカー担当者は「来年あたりは完全に生乳が足りなくなる」と危機感をあらわにしている。ここ3年は生乳の需給緩和により「搾るが出荷できないから捨てる」といった状況が続いている。業界一丸となって消費喚起策を講じている一方で、飼養コストの高騰などで厳しい経営状況のなか、昨年から今年にかけて酪農家が子牛をあまり買っていないという。子牛から乳が搾れるようになるまで2~3年かかるが、その際に乳を搾れる牛がいなくなるため、来年以降は現状から一変、生乳不足に陥ることが懸念される。

4年ほど前までは、本州の酪農家では供給が間に合わず北海道から生乳を送るほど、夏場の需給は8月をピークにひっ迫した。しかし、ここ4年間は本州もあまり暑くなく、牛が乳を出すようになり、政府主導で増産に取り組んできた効果も表れてきたのに反し、コロナ禍や学校給食の休止などもあって生乳は余るようになった。

給食は再開したものの、現在牛乳を飲まない子どもが増えているという。「親が飲まないからそもそも牛乳を飲んだことがなかったり、アレルギーなどが理由。昔のように先生が、なかば強引に飲ませるようなこともない」(担当者)。

需給緩和が続くなか、8月からは飲用乳価引き上げに伴い牛乳1ℓ当たり25円前後値上げされる。22年の11月から再度の値上げで、現状198円の牛乳を含めすべて200円を超えることになる。「前回の値上げよりも今回のほうが厳しいのでは。今後、消費者にどう受け入れてもらうかが課題」(同)。

国内酪農基盤を維持していくため牛乳の需要喚起が引き続き急務となっている。

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