「ボンカレー」から辛さ最大の新商品とにんにく入り新商品 国産野菜・手作業・60分炒めたあめ色たまねぎなど独自価値伝達が狙い

 大塚食品は「ボンカレーゴールド」と「ボンカレーネオ」から6年ぶりに新商品を発売して「ボンカレー」ブランドの新規ユーザーを獲得していく。

 5日発表した大塚食品の中島千旭製品部食品担当レトルト担当PMは、自社調査を行ったところ、レトルトカレーの中で「ボンカレー」の純粋想起率は断トツの1位で認知率も約9割と高く出る反面、これまで購入したこのない人が一定数いることを指摘する。

 「『ボンカレー』非購入者から『ボンカレー』のイメージを聞くと“昔からの古いイメージがある”“おいしそうなイメージがない”といったお声をいただいた。しかしながら、その方たちに『ボンカレー』の機能的な価値や情緒的な価値を伝えると“それでは一度買ってみよう”とポジティブな反応が返ってくることが調査で判明した」と語る。

 今回、新規ユーザーに「ボンカレー」の独自価値(後述)に触れてもらうきっかけとして、以下の3品を7月24日に新発売する。

「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」(中央)「ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口」(左)「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」(右) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」(中央)「ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口」(左)「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」(右)

 ――「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」
 ――「ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口」
 ――「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」

 3品とも、刺激を求める人が増加傾向にあることと、にんにくフレーバーの商品が拡大傾向にあることを受けて開発された。

 「食べたい味や食べたくなる味が『ボンカレー』を手に取っていただくきっかけになれればいい。これまでSNSで(独自価値を)発信してきたが、店頭で気づいていただき、手に取っていただけるきっかけとして、今回着目したのが辛さという刺激とにんにくの味わい」と説明する。

 にんにくフレーバーについては「拡大の理由の1つにコロナ禍が挙げられる。マスクを着用し、在宅で人と触れ合う機会が少なくなる中で、食べてもにおいが気にならない部分が消費を後押ししたとみられる。にんにくは一度クセになるとやめられない側面があるため、にんにくを食べる抵抗感はコロナ前よりも弱まっていると思っている」との見方を示す。

 今回、にんにくフレーバーの商品は、「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」と「ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口」の2品。

 2品とも餃子などを食べたときに感じるしっかりしたにんにくの味わいではなく「にんにくの香りが鼻に抜けるようにした。フライドガーリックなどを食べたときに感じる、最初にインパクトがくる味わい」という。

 これをベースに「『ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口』はおろしにんにくをメインに使用し、にんにくの旨味を強く打ち出した。2品ともフライドガーリックを使用しているが、『ボンカレーネオ 焦がしにんにく やみつきスパイシー 辛口』はフライドガーリックのほうを引き立たせた」。

 もう一方の新商品「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」は“レトルトカレーの風味トレンドの最上位が辛口”という外部データーから勝算を見込む。
現在の「ボンカレー」のラインアップで「ボンカレーゴールド 大辛」を凌ぐ最大の辛さに設計され「赤唐辛子の辛さと粗びきした黒胡椒の後引く辛さ、ビーフの旨味に辛さが際立つカレー」に仕立てられている。

 「ボンカレー」ブランドの辛味順位は「ボンカレーネオ スパイシー 後引く辛さ 大辛」が10と最も高い。「ボンカレーゴールド」では「甘口」1、「中辛」3、「辛口」5、「大辛」8の順になっている。

 ブランドサイトやSNSを活用して新商品3品のアレンジレシピも提案していく。

 アレンジレシピは、スパイス料理研究家の一条もんこさんが考案。いくつかある中で、中島PMの一押しは、「ボンカレーゴールド うま辛にんにく 辛口」にもやし、ラー油、塩こしょうを加えた“もやしシャキシャキカレー”という。

じゃがいもの芽取りが手作業で入念に行われている様子 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
じゃがいもの芽取りが手作業で入念に行われている様子

 レトルトカレー市場はコロナ禍の2020年に急激に伸び、21年に若干反動減になったものの、22年は2ケタ増となり拡大基調にある。市場規模は670億円強と推定される。

 成長著しいのは健康カテゴリーや名店系のこだわりハレカテゴリー。

 「ボンカレー」では、ボリュームなどとの兼ね合いから、安心定番(ボンカレーゴールド)・プチ外食(ボンカレーネオ・Theボンカレー)・汎用マルチの3カテゴリーに注力している。

 大塚食品は「ボンカレー」が今年2月12日に発売55周年を迎えたことを機に「ボンカレー」の知られているようで意外と知られていない基本的な独自価値を、ブランドサイトなどを通じて発信している。

 この取り組みに加えて、「ボンカレー」が世界最長寿のレトルトカレーブランドとしてギネスワールドレコーズリミテッドによるギネス世界記録に認定されたことのアピールも奏功して販売は「金額ベースで1ケタ上昇で推移している」。

 独自価値の最たるものが、開発者に代々受け継がれて守られてきている“あめ色玉ねぎ”による甘み・旨み・香ばしさ。
 「素材の深い味わいを最適に引き出せるまで60分じっくり炒めたあめ色の玉ねぎは、55年前から現在まで『ボンカレー』の根底にある共通の味をつくり出している」と胸を張る。

 おいしいカレーに欠かせないじゃがいも・たまねぎ・にんじんは国産のみを厳選して使用。
 これらのこだわりに加えて、SNSでの生活者とのコミュニケーションを通じて「知らない方のほうが多い」のが、じゃがいものこだわりと「甘口」「中辛」「辛口」と辛さごとに異なるレシピ設計という。

 収穫されたじゃがいもを工場でほんのりと蒸した後、専用の機械で皮をむき、じゃがいもの芽取りは全て熟練のスタッフによる手作業で入念に行われている。

 レシピ設計については、一般的にカレーの辛さを調整する場合、ベースとなるソースはそのままに、スパイスなど辛み成分のみでコントロールする方法が多く用いられる。
一方、「ボンカレー」は辛さのレベルによってソースのレシピが異なり、カレー粉やスパイスも辛さごとにブレンドが異なっている。

 一例を挙げると「ボンカレーゴールド」のレシピでは、甘口は4種のフルーツのやさしい甘さ、中辛はビーフのコクと旨み、辛口はカルダモンやブラックペッパーなど大人向けの スパイスの香りが特長となっている。

 開発当時から牛肉100%にこだわっているのも「ボンカレー」の特徴。
 「“牛肉100%なんて夢のような贅沢!”と思われていた時代から『ボンカレー』は牛肉100%にこだわり、とっておきのごちそうメニューとして食卓に提供されていた」という。