ゼリー飲料市場の販売金額が2022年、900億円の大台を突破して過去最高を記録した。
20年にコロナ禍の外出自粛が痛手となり大きく落ち込み、その後、在宅需要などを狙った各社の商品・マーケティング施策が奏功し、これに人流回復やコロナ禍の体調管理ニーズの高まりが後押しして2年連続で成長を遂げた。
インテージSRI+データによると、ゼリー飲料市場の販売金額は20年8.3%減の744億円、21年7.1%増の797億円、22年13.1%増の901億円。
インテージ市場アナリストの木地利光氏は「2020年の落ち込みは、コロナ禍の外出自粛により外出時の水分・栄養補給需要が落ち込み機能系の販売が苦戦したためと見て取れる。ところが2021年以降は、自宅療養やワクチン接種時の副反応対策としての需要が高まり機能系の需要が伸長した」との見方を示す。
特に昨年は、自宅療養やワクチン接種時の体調管理ニーズが上乗せになったとみられる。
ゼリー飲料トップブランドの「inゼリー」(森永製菓)は前期(3月期)売上高が前年比14%増,過去最高を更新した。「inバー」を含めたin事業の売上高は9.2%増の306億200万円となった。
「inゼリー」は昨年12月の価格改定以降も好調。アイテム別ではラムネ味の「エネルギーブドウ糖」の伸びがブランドの成長を牽引した。
森永製菓の足立剛康菓子食品営業部健康営業グループマネジャーは「考えるためのエネルギーといったところで新しい需要が生まれてきている。受験シーズンでの上昇が顕著にみられ、勉強や仕事といった思考力を要するシーンでの飲用が定着している」と説明する。「エネルギーブドウ糖」は当初、コンビニのみで販売。2020年秋に全販売チャネルに拡大したことで間口(飲用層)が広がりをみせている。
20年に機能性表示食品にリニューアルして右肩上がりに拡大しているのは「キレートレモン クエン酸2700ゼリー」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)。これにはクエン酸によるところが大きい。
ポッカサッポロの高井朋子マーケティング本部ブランドマネジメント部アシスタントマネージャーは「クエン酸の疲労感軽減の機能がポイント。コロナ禍によって生活者の間で疲労が顕在化していく中、自然由来のレモンの力で疲労感が軽減できるという点が支持されお客様の数が物すごく増えている」と語る。
「クエン酸2700ゼリー」は昨年5月から夏場に向け主要コンビニで採用されたことで勢いに拍車がかかり、22年は前年比2倍以上伸長。今年も二ケタ増で推移し好調を維持している。
ハウスウェルネスフーズの「1日分のビタミン」ブランドの前期(3月期)売上高は、11%増の48億円に達した。中でもゼリー飲料の「1日分のビタミン ゼリー」シリーズは、顧客接点の拡大や機能性とおいしさを両立させた製品特性を背景に拡大。地方自治体のコロナ療養者向け食品としての特需も追い風になった。
新規ユーザーとして女性層も獲得する。同社は、21年に「まるでスムージー」を立ち上げ、初動の段階でコンビニ各社に採用され女性層の午後の喫食・飲用シーンを獲得。「これまで届かなかったお客様にしっかりリーチすることができた」(ハウスウェルネスフーズの藤堂真人事業開発二部グループマネージャー)という。
これに対して、森永製菓も「inゼリー」で女性を中心とする健康的な間食ニーズを取り込むべく「フルーツ食感」を21年に立ち上げ、狙い通りターゲットの女性層を多く獲得して前期(3月期)売上は前々期比約4倍に跳ね上がった。