昭和産業は5月19日、決算説明会を開き、塚越英行社長執行役員は「今期は糖質事業の収益改善が寄与し、増収増益を見込む。『中期経営計画23―25』で掲げた諸施策を着実に実行し、今後3か年で65億円の利益創出を目指す」などと述べた。
23年3月期業績は、価格改定の効果で売上高は3千350億円、16.5%増となったものの、営業利益は41億円、24.8%減にとどまった。うち、製粉事業は営業利益38億円、前期比8.0%増、油脂食品事業は同10億円、同4.4%増と堅調だったが、糖質事業が営業損失10億円、同▲15億円と苦戦した。ただし、塚越社長は同事業について「粉末水あめが10%以上伸びるなど高付加価値製品は販売好調。昨年後半から価格改定も浸透しつつあり、コスト上昇に追い付いてきた」。
今期業績は売上高3千600億円、7.4%増、営業利益75億円、79.2%増を計画。うち、組織改編で3セグメントを統合した食品事業(製粉・製油・糖質)は売上高2千940億円、約9%増、営業利益75億円、約97%増。増益要因は糖質の収益改善(前期比+30億円)によるところが大きい。製粉は業務用小麦粉の価格改定や船橋プレミックス第2工場を生かした生産強化に取り組む。製油はボーソー油脂、辻製油との連携を強化しながら、こめ油・コーン油の競争力向上と販売拡大を推進。糖質はターゲットユーザー向けの拡販などでコロナ前水準への販売回復を目指す。
「中期経営計画23―25」のうち最終25年度の経常利益は130億円に設定。今後3か年で65億円の利益創出を目指す。付加価値商品の拡大など「基盤事業の強化」で27億円、海外や冷凍食品の強化など「事業領域の拡大」で8億円、適正な価格改定など「事業環境の回復・環境への対応」で30億円を積み上げる。
なお、同社は今期に向け営業組織の抜本的な改編を行った。製粉・油脂・食品など同社グループが取り扱うすべての商品を、営業スタッフが業態別にワンストップで提案する体制に移行。すでに成果は出始めており、国領順二取締役専務執行役員は「昨年から営業の全社員を対象に商品知識の教育プログラムを実施するなど準備を進めてきた。スタートしたばかりだが、例えば製パンメーカーに油脂と糖化製品をトータルでプレゼンするような事例も数多く出てきた」と説明。塚越社長は「先行して立ち上げた外食専門のソリューション営業部では、母数は小さいながら昨年の売上を前期比2倍に伸ばせた。こうした成功事例を広げていきたい」とした。