日本アクセスの服部真也社長は4月の社長就任後、初となる決算会見に臨み、「第8次中期経営計画2年目を迎え、外部環境の変化に的確に対応し、変革と挑戦を続けていく。コロナ禍を経験した消費者の意識と購買行動は目まぐるしく変化している。従来と同じことをやっていくのではなく、積極的にチャレンジし、新しいビジネスモデルを作っていく」と意気込みを語った。
このほど開示した同社の22年度連結業績は売上高2兆1千976億円(前期比3.6%増)、経常利益261億円(9.3%増)、当期利益174億円(6.5%増)。物流費や電力料、人件費の増加で販管費が前期比65億円増加したが、売上拡大に伴う売上総利益の増加、継続的なコスト削減により販管費増加を吸収。売上、利益ともに過去最高を更新し、「22年度も総合食品卸№1となることができた」(服部社長)。
分野別売上高(旧会計基準)はロジスティクス事業が微減となったが、市販用1兆6千777億円(1.6%増)、中食3千586億円(7.5%増)、外食1千751億円(15%増)といずれも増収。温度帯別では、ドライ8千672億円(4.7%増)、チルド7千546億円(2.3%増)、フローズン5千36億円(5.2%増)。
業態別では、リージョナルチェーン7千804億円(1.9%増)、ナショナルチェーン3千640億円(2%増)、ドラッグストア1千618億円(7.5%増)、CVS5千685億円(1.9%増)、外食.デリカメーカー3千700億円(8.9%増)、卸売業563億円(5.6%増)。
食品の取扱い増加と店舗数の拡大が続くドラッグストア向けが好調だったことに加え、中核事業の中食デリカがSM8.9%増、CVS6.9%増と伸長、全体を牽引した。
服部社長は「22年度はデフレからインフレに変わり多くの商品で価格改定が相次ぐなか、(商品開発や提案活動など)お客様との取り組みが成果を挙げ、トップライン拡大につながった」と手ごたえを示した。そのうえで「今期も引き続き、得意先さまから求められる機能・サービスを磨き、生産性向上に努めていく。生活防衛意識の高まりや消費の二極化、厳しいコスト環境が予想されるが、適正利益の確保と変化への先読み力、プロアクティブな対応が重要になる」と語った。
23年度の経営方針では、第8次中計「構造改革2024~新たなサービスと価値の創造」で掲げた基本方針に沿って、成長・競争優位の確立、収益構造改革、経営基盤改革を推進。フルライン機能の強化では、菓子・酒・ノンフーズ・商品開発を重点テーマに新たなビジネス創出を目指す。情報卸やECビジネスの強化拡大も進める。
中核事業の生鮮・デリカ・外食では、内・中・外のシームレス化に対応した商品開発・提案を強化。今期から営業部門組織にエリア商品・営業推進部を設置し、商品軸の提案に加え、各エリアで営業力・提案力・商品調達力の強化とカテゴリー戦略の推進により、さらなる商権拡大を目指す。
物流課題の解決では、24年度に向けてフローズンマザーセンターの全国配備を進め、一貫パレチゼーションの導入による効率化を推進。ドライバーの荷待ち時間削減と負荷軽減、最適物流体制の構築に取り組む。
23年度の定量目標は売上高2兆2千700億円(3.3%増)、経常利益262億円(0.4%増)、当期利益178億円(2.2%増)を計画。物流費や電力代、人件費など現時点で約98億円の増加を見込むが、トップラインの拡大と業務効率化の推進により吸収し、増収増益を目指す。