防災食品や備蓄食品の商品開発に転機が訪れている。関東大震災から100年の節目となる今年は、9月1日の「防災の日」に向けて様々なイベントが企画されており、防災需要の盛り上がりも期待されている。これまでの商品の特徴は、賞味期限の長さを基本とし、アルファ米やノンアレルギー食品、栄養補助食品、減塩食品、介護食品、ハラール食品など中身での差別化に力が注がれてきた。一方、SDGs達成を念頭に置いた持続可能な社会実現を目指す企業が相次ぐ中で、防災食品業界も環境配慮型の商品に関心が寄せられている。
包装資材に再生プラスチックを取り入れることで資源循環・環境負担低減を目指す取り組みや、自然分解する使い捨て食器を採用することで、使用後は燃やしても無害で、堆肥として利用できる容器など、開発の方向は主に包装容器に向けられている。こうした取り組みは、特に企業や官公庁など法人系から高く評価され、ローリングストックに関心の高い生活者も、より環境に配慮した商品を選ぶ傾向にある。
こうした中でアルファ米の尾西食品は、アルファ米製品に使用しているスプーンを環境に配慮したエコスプーンに変更。昨年取得したパッケージのエコマークに続き、さらなる環境負担低減を進めるため4月以降順次、アルファ米個袋タイプ17品およびアルファ米炊き出しセット11品に入っているスプーンを、バイオマスマーク認証を受けたエコスプーンへ切り替える。このエコスプーンはプラスチック量現行比40%削減となっている。
同社は昨年、包装資材に再生プラスチックを取り入れ非常食では初となるエコマーク認定を取得。今回は生物由来の資源を使用しバイオマスマークを取得したエコスプーンへ切り替えることで、資源循環・環境負担低減を目指している。こうした動きは他社にも波及しそうで、行政からの要請もあるようだ。