2022年の乾麺市場は、金額ベースで微増に推移したもよう。原料、資材、高熱費などの高騰で各社値上げに動き、販売額はプラスとなった。しかし物量では軒並み減少。総生産量は機械麺、手延べ麺を合わせて20万tを下回った。23年度も麦価、そば粉価格の圧迫は必至。もう一段階の値上げが必要になりそうだ。
食品需給研究センターが発表した22年の乾麺生産量(そば粉を含む)は前年比96.1%の19万5千558tとなり、19年以来3年ぶりに20万tを下回った。コロナ感染拡大の巣ごもり需要で20年に市場が復活したものの21、22年は反動減となった。
機械麺はトータルで数量13万9千551t/前年比96.4%。白物の漸減が続くなか、過去10年ほど二ケタ成長してきた中華麺が11.4%減と大幅に落ちた。麦価上昇で物量が減少したことに加え、好調市場に参入が相次ぎ、競争が激化した。
一方で、そば(そば粉含む)が0.9%、ひらめんが12.5%伸長した。ただし、そばの中身をみると小麦使用量1.9%増に対して、そば粉使用量が1.5%減少している。つまり配合比率を見直し、そば粉割合を低く抑えたそばが市場に増えた。近年は高配合そばが好調に伸びていたが、そば粉価格の急騰が市場の様相を変えた。
ひらめんは5千648tと数字が小さいながらも過去最高の生産量になった。幅は広いが薄く、食感がありながら早ゆで調理が可能。東日本大震災で電力不足が問題になって以降、広がっている。
手延べ麺は5万6千7t/95.3%。内訳は、そうめん4万6千472t/95.1%、ひやむぎ6千61t/89.6%、うどん3千474t/113.3%。
手延べそうめんは高齢化や人手不足による全国的な生産者減が顕著になった格好。加えて生産最盛期の秋冬に、生産者や従業員が新型コロナに感染もしくは濃厚接触者となったことで自宅待機を強いられ、通常生産ができなかった。手延べの生産者は家族経営が多く、一人が感染すると一軒の生産に影響する。こうした理由が積み重なり、産地全体が生産量不足に陥った。生産期間を初夏まで延長して、その端境期に作られるひやむぎにも影響した。手延べうどんは前年度の減少分が回復した。
23年の業界は、引き続きコスト高への政策が最大の関心事となりそうだ。
輸入小麦の政府売渡価格は、21年春秋、22年春に3期連続で引き上げられた。22年秋は据え置きされたものの、23年春は5銘柄平均で5.8%増加。また小麦以上に原料事情が深刻なのはそば粉で、長引くロシア・ウクライナ侵攻や中国の転作政策により、原料自体を確保できるのか不安視する声が広がっている。
主原料以外にも資材、エネルギー費、人件費が高騰している。こうしたコスト圧迫に追い打ちをかけるように、2024年物流問題も出てきた。配送費が嵩めば利益面はさらに厳しく、追加値上げが必至の状況を迎えている。(4月27日発刊「乾麺・めんつゆ2023」より)。