ファミリーマートが高校に無人決済システム店舗を初出店 コロナ禍で食堂が休止したことを背景に新フォーマット提案

 ファミリーマートは、高校に無人決済システム導入店舗を初出店する。

 店名は「ファミリーマート八洋大森学園高等学校/S店」。
 10日、大森学園高等学校(東京都大田区)内にオープンした。

 店舗面積は約15㎡。利用者は生徒と教職員らあわせて900人。通常店舗が出店できない限られたスペースへの出店となる。

 「地域や出店場所で区別することなく気軽に利用していただけるコンビニの一形態として、無人店舗の新たなフォーマットの提案を進めている」(ファミリーマート)という。

 今回の出店は、コロナ禍で食堂が休止し再開の見込みが立たず、生徒の食事を心配する保護者の声も多かった同高校の要望を受け、ファミリーマートが提案したもの。

 営業時間は7時30分~18時30分。生徒の部活前後の利用や教職員の福利厚生にも対応する。

 取扱品目は主食や菓子などを中心に約400種類を取り揃える。

天井部分に20台の追跡カメラを設置 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
天井部分に20台の追跡カメラを設置

 来店客の購買の流れはこうだ。

 入口にはゲートを設けておらず、入場すると天井部分に設置した20台の追跡カメラで入店した来店客(高校生ら)と手に取った商品をリアルタイムに認識する。

 会計は、出口付近に設置された決算端末で行う。
 決済端末は2台設置され、いずれかの前に立つと、手にした商品と合計金額がディスプレイに自動で表示され、支払い方法を選択して会計する。会計後、ゲートのある出口から退出する。

 支払い方法は、「ファミペイ」を含むバーコード決済、交通系電子マネー、クレジット、現金から選択できる。利用にあたり、事前のアプリ登録は不要となっている。

 商品の納品や補充、消費期限管理などは近隣のファミリーマートで働く従業員がワンオペレーションで行う。同店は、近隣のファミリート店舗のサテライト店の位置づけとなる。

決済端末 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
決済端末

 無人決算システムは、TOUCH TO GO(本社・東京都港区)が開発したもので、無人化のメリットに人件費削減が挙げられる。

 TOUCH TO GO営業推進部(ファミリーマートから出向)の津田純一氏は、レジ対応がなくなった分、これまでの無人決済システム導入店舗でも4~5割程度の人件費削減につながったと説明する。

 スピーディーな出店ができる点も特徴に挙げる。
 店舗は櫓(やぐら)のような簡易タイプで、工事の必要がなく3日程度で骨組みが完成する。
 「コンビニエンス業界を含め人手不足が大きな課題。人を確保しなければ、しっかりと運営を維持できない。店舗運営業務で3割程度を占めるレジ業務にTOUCH TO GOのシステムを入れることで運営コスト削減につながる」(ファミリーマート)という。

 ファミリーマートは現在11都府県で無人決済システム店舗の実用化を推進している。これまでに大学や市役所、バスのロータリーの横などのスペースにも出店。今回で17店舗目となり、26年までにTOUCH TO GO の無人店舗を含め、全国1000店舗のサテライト出店を目指している。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)