家庭用つゆ 麺需要中心に拡大へ 新価格定着なるか

家庭用つゆ市場は濃縮つゆの成熟化に伴い緩やかな縮小傾向にある。2022年度(4~3月、以下同)もこの傾向に沿った展開になった。しかし、麺以外の汎用需要が苦戦している半面、麺用パウチが健闘するなど麺需要が善戦。収益構造の変革が急務となる中で麺需要を中心に需要の活性化を目指す動きも活発だ。23年度の市場は拡大に転じる可能性がある。

春夏期のつゆは主に汎用の濃縮つゆ、白だし、麺用のストレートつゆで構成される。22年度は、ストレートつゆがパウチタイプを中心に善戦した半面、主軸になる濃縮つゆに加え、拡大基調にある白だしも苦戦した結果、前年を若干下回る水準で着地したとみられる。麺需要が善戦し、調理疲れも指摘される中で汎用需要が苦戦した結果ともいえる。

市場ではコスト高を背景にした値上げの動きが進んでいる。1月から4月までにヤマキ、創味食品、キッコーマン食品、ヤマサ醤油が値上げに踏み切った。6月にはにんべんが再値上げを、7月にはヒガシマル醤油なども値上げを実施する。23年度は新価格の定着が焦点になる。その一方で商品とプロモーションの両面から麺需要と汎用需要の喚起を図る動きが活発になっている。

上位メーカー各社は主力ブランドや育成ブランドの提案を強化する。ミツカンは今春、「追いがつおつゆ」をリニューアルし、「大好きだし。麺と鍋。」を新発売。ヤマサ醤油は「ぱぱっとちゃんと これ!うま!つゆ」をリニューアルした。パウチタイプでもエバラ食品工業が「プチッとうどん」、キッコーマン食品が「具麺」、丸美屋食品工業が「かけうま!」の展開を強化した。

各社それぞれTVCMを投下しながら商品認知の拡大、需要や購買の喚起にも取り組む。節約志向の高まりに伴い汎用調味料への関心も高まり、汎用需要が活性化する可能性もある。それだけに麺以外の汎用メニューを提案する動きも焦点の一つだ。それに加え、春夏期に関しては麺メニュー、麺の新しい食べ方を提案する動きが大きな焦点になる。

キッコーマン食品は「具麺」や濃縮つゆ「濃いだし本つゆ」、白だし「旨みひろがる香り白だし」のカテゴリー横断で麺メニューの訴求に取り組む。ミツカンも「追いがつおつゆ」と新商品「大好きだし。麺と鍋。」でそうめんを中心とした麺メニューの活性化に取り組む。冷たい麺メニューの需要期を迎えつつある。つゆ市場にとっても麺メニューと麺需要の動向が注目されることは間違いない。